朝倉『教室で漏らしてあなたの出方を見る』キョン「……は?」

涼宮ハルヒの憂鬱

アンケートへの回答ありがとうございました。

今後のまとめ記事の参考にさせて頂きます。

要望等あればいつでもご連絡ください。

1: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 00:19:20.183 ID:0uOnNdjN0
あっという間に秋が過ぎ去り、呼んでもないのに冬の気配が近づいてきた、ある日のこと。

いつも通り、SOS団の一見すると無意味で、知れば知るほど無意義な活動を終えた俺は、徒労感を漂わせながら自分の靴箱から外履きを取り出した。

すると、一枚の紙片が舞い落ちる。

キョン「……なんだ?」

怪訝に思いながらも、その素っ気ないノートの切れ端のような紙切れを拾い上げると、そこにはこう記されていた。

『教室で漏らしてあなたの出方を見る』

キョン「……は?」

差出人の名は……書かれていない。
なんだこれは。谷口辺りの悪戯か?

長門「……どうか、した?」

いつの間にか、隣に長門が立っていて、そんな気遣わしげな言葉を投げかけ、こちらをじっと見つめてきた。

キョン「いや、なんでもない。ただの悪戯さ」

そんな不安そうな目を向けられた俺は、長門に余計な心配をさせてしまうことを恐れ、困惑しながらもその紙片をくしゃっと丸めてポケットに仕舞い、足早に昇降口を後にした。

2: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 00:20:32.300 ID:0uOnNdjN0
翌日。

日に日に下がっていく気温に伴い、ついに稼働を許された暖房設備から吐き出される温風に、俺は昨日の不可思議な手紙のことなどすっかり忘れ、うつらうつらとしながら授業を聞き流していた。

この眠りに落ちそうで落ちない、心地よい感覚を好む者は、俺以外にも多いだろう。
事実、教室全体がそのような空気に満たされていて、後ろのハルヒなどは既にくぅくぅ寝息を立てている始末だ。

キョン「ふあぁ……ん?」

何度目かわからない欠伸と共に、ぐっと背筋を伸ばした俺は、ふと、ツンと鼻の奥を刺激する、その匂いに気がついた。

キョン「この匂いは……まさか……」

ゴクリと喉を鳴らして、確信する。

これは、便の匂いだ、と。

4: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 00:21:39.915 ID:0uOnNdjN0
その香ばしい香りは、今朝自宅のトイレで嗅いだばかりなので、間違いようがなかった。
しかし、ここは教室であり、トイレではない。

それなのに、何故。
いや、待てよ……?

そこでようやく、昨日下駄箱に投函されていたあの紙片のことを思い出す。

『教室で漏らしてあなたの出方を見る』

そう、確かにそのように書かれていた。
ということは、この匂いはそれを実行に移したことによって生じた、副産物ではないだろうか。

そこに思い至った俺は、匂いの発生源を突き止めるべく、周囲に視線を巡らせる。

キョン「どうやら……谷口ではなさそうだな」

谷口は現在、教科書をつい立のようにして教師の目を逃れ、コソコソと早弁に勤しんでいた。
飯を食いながら、いや、早弁をしながら早便をする奴など、そうそういないだろう。

では、一体どこのどいつだ?

7: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 00:23:56.166 ID:0uOnNdjN0
最有力候補である谷口の線が消えた今、新たに捜査線上に浮上したのは、国木田である。

もちろん国木田は、ビジュアル的にも、そしてキャラクター的にも教室内で脱糞するような奴ではない。

しかし、万が一ということもある。
なので、確認の意味を込めて彼の席へと視線を向けたのだが……

国木田「はぁ……どうすれば、おっぱい大きくなるかなぁ」

そんな呟きと共に、自らの胸を揉みしだく国木田を見て、俺はそっと視線を逸らした。

誰にでも、悩みはある。
その悩みは恐らく、解決することなく一生つきまとうだろうが、俺は友として先ほど目撃した珍事を口外しないことを誓おう。

口に出さない代わりに、帰ったらその様を某有名掲示板に書き込もうと、そう決意しながら、俺は次の容疑者を探すことにした。

9: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 00:24:59.443 ID:0uOnNdjN0
キョン「国木田でもない……となると」

国木田が容疑者から外れたことにより、捜査は暗礁に乗り上げたかと思われたが、そんなことはなかった。

ある意味、谷口以上の重要参考人を、あえて除外して捜査を進めていたのだ。

外堀を埋め終えた俺は、満を辞してその大本命の席へと振り返った。

ハルヒ「むにゃむにゃ……にはは……こら、キョン、変なところ触らないでよ」

すぐ真後ろの席に突っ伏し、よだれを垂らして、あられもない姿で居眠りをしているハルヒは、そんな人聞きの悪い寝言を呟きながらも、幸せそうに微笑んでいた。

まったく、こいつは一体どんな夢を見ているんだか。

11: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 00:26:08.392 ID:0uOnNdjN0
とにかくそんな、ともすれば可愛らしくも映るハルヒだが、こいつの凶悪性と変態気質を身に染みてわかっている俺は、おかしな夢を見ながら脱糞している可能性を捨てきれずにいた。

キョン「……やむを得ない、か」

というわけで、机の下を覗き込むような形で、大股開きで座っているハルヒの下着を確認してみたのだが……

キョン「……ふむ。どうやら、白か」

今日のハルヒの下着の色は白……もとい、ハルヒは白であり、容疑者からは外れた。

もっとも、その顔に似つかない清楚な純白のパンツには、うっすらと染みのような物が見て取れる。
しかし、こいつが寝小便を漏らしていようと今の状況下では何ら問題はないし、そもそもあんな寝言をほざいていたことから、この染みは別の分泌液であるという可能性が大きい。

ともあれ、10秒以上時間を費やして染みパンをしかとこの目に焼き付けた俺の英断によって、我らが団長の身の潔白は証明されたのだった。

12: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 00:27:32.346 ID:0uOnNdjN0
キョン「しかし、参ったな……」

めぼしい犯罪者予備軍達全ての容疑が晴れたことにより、今度こそ捜査は暗礁に乗り上げてしまった。

未だに漂い続ける便の香りは、まだ微かなもので、この匂いに気がついているのは少ない。
というよりは、気づいていても気づかないふりをしている者が大半の筈だ。

そんな、見過ごせるレベルの匂いなのだが、俺は言いようのない焦燥感に駆られていた。

何か、良くないことが起きそうな、そんな気がする。

と、その時。

キョン「ん?」

ポタリと、俺の斜め前に座る生徒の椅子から、一滴の雫が床に落ちた。

その色は、茶色。

間違いない。こいつが事件の犯人だ。

13: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 00:28:32.339 ID:0uOnNdjN0
それにしても斜め前の席とは。
灯台下暗しとはよく言ったものだ。

俺はしてやられた気持ちになって、その犯人の腰まで届きそうな青みがかった長い黒髪を、睨むように見据えた。

キョン「あれ…?」

そこでふと、違和感を覚える。
斜め前の席の奴は、こんなに髪が長かったか?
それに、ハーフアップに纏められたその髪型は、因縁浅からぬあの通り魔を連想させ、こめかみに冷や汗が滲んできやがった。

いやいや、まさかな。
差出人不明の下駄箱への投函も含めて、少々怖気付いてしまっているだけだ。
そう、奴が……俺の生命を一度ならず二度も脅かしたあいつが、この教室にいる訳がない。

かぶりを振って目の前の光景を受け入れることを拒否する俺に、件の犯人はちらりと振り返り、その刹那、口元に張り付いた凶悪な微笑みを俺は確かに目撃した。

その直後、事態は急展開を迎える。

14: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 00:29:33.135 ID:0uOnNdjN0
ブリュッ!…と、水気を多分に含んだ何かを押し潰したような音が、教室に響き渡った。

教室内が沈黙に包まれる。

だらだらと誰一人聞いていない授業を続けていた教師ですら、その音に気を取られ、講釈を中断していた。

衣擦れの音一つしないその教室内で聞こえるのは、今となっては弁当をかっ込む、谷口の咀嚼音くらいなものである。

谷口「もぐもぐ……あん?」

そんな谷口ですら、静まり返った周囲の異常に気づき、顔を上げてキョロキョロと辺りを見渡す素振りを見せたその瞬間。

ブリュリュリュリュッ!ビチッ!ブボッ!

耳を覆いたくなるような、そんな汚すぎる排泄音が、大音量で垂れ流された。

18: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 00:30:30.267 ID:0uOnNdjN0
再び静寂に包まれる教室内。

今度は谷口の咀嚼音すら聞こえない。
そんな張り詰めた空気を崩壊させたのは、やはり、この女だった。

ハルヒ「んあっ!?……キョン!うんちよ!!今、うんちをする音が聞こえたわ!!」

不味い。不味すぎる。
眠りの淵から舞い戻ったハルヒが、この事態に強烈な好奇心を示し始めた。
この状況で漏らした奴が斜め前の席の奴だと発覚すれば、この不思議発見隊の隊長兼、SOS団の団長殿は躊躇うことなく、この事件の首謀者を仲間に迎え入れる……かも、知れない。

それだけは、駄目だ。

俺は自らの安全と、部内の風紀を守るべく、一芝居打つことを決断した。

キョン「谷口!!教室内でうんこを漏らすな!!」

19: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 00:32:03.567 ID:0uOnNdjN0
俺の一言に、教室内が騒然となる。

まさに、阿鼻叫喚。
谷口の周りの生徒達が、机ごと、一斉に奴から距離を取った。

谷口「はぁぁ!?おい、キョン!!変な言いがかりを付けるんじゃねぇ!!」

キョン「谷口、臭うから口を開くな」

谷口「口は関係ねぇだろうがぁぁ!?なんだてめぇ!!喧嘩売ってんのか!?」

キョン「だったらどうするんだ?」

谷口「おし、わかった!!表出ろっ!!」

よし谷口、よくやった。
俺と谷口は席を立ち、周囲の注目を集めたまま、廊下へと出た。

さあ、反撃返しといこうじゃないか。

22: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 00:33:22.812 ID:0uOnNdjN0
谷口「なんのつもりか知らねぇがな。キョン、一発や二発じゃ済まさねぇぞ」

荒ぶる谷口が臨戦態勢に入っているが、俺は拳を構えることもなく、奴に歩み寄る。

谷口「な、なんだ!?ほ、本当にぶん殴るぞ!!」

そんな無防備な俺は、奴の目には相当不気味に映ったらしい。
まあ、巻き込んじまった手前、一発や二発程度なら殴られることもやむなしと思っていたので、びびって貰えるなら都合が良かった。

俺はそのまま谷口の隣まで歩き、すれ違う際に奴の肩をポンと叩いて謝辞を述べる。

キョン「ありがとよ、谷口」

谷口「……あん?お、おい、キョン!そりゃどういう意味だ!?おいっ!!」

困惑する哀れな谷口を置き去りにし、その叫び声とクラスメート達の好奇な視線を背に浴びながら、俺は廊下を駆けた。

23: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 00:34:56.896 ID:0uOnNdjN0
授業中の為、人っ子ひとりいない廊下を走り抜け、階段の踊り場に差し掛かった俺は、周囲に人の目がないことを確かめ、すうっと深呼吸を一つして、そこに設置されていた火災報知器の非常ベルを力いっぱい押した。

ジリリリリリリリリリリリリリ!!!!

学校中にけたたましいベルの音が鳴り響く。

キョン「火事だぁー!!みんな、早く逃げろぉー!!」

そして俺は、自分に出せる限りの声を、腹から絞り出し、廊下に向けてそう怒鳴ることで、パニックを生み出した。

教師の制止を聞かずに、一斉に教室から飛び出し、廊下に溢れかえる生徒達。
非常ベルだけなら、ここまでパニックに陥ることはなかっただろうが、火事だ!と叫ばれれば、誰だって恐怖のあまり逃げ出す。

俺はそんな中、なんとか自分の教室に戻ろうとしたのだが、人混みに押され、なかなか前に進めない。

キョン「くそっ!どいてくれ!!」

古泉「おやおや、お困りのようですね。さあ、早くこちらへ」

そんな折、突如現れた古泉が俺の腕を掴み、半ば強引にこの状況下で誰一人使用することはないと思われる、人気のないトイレへと引き込んだ。

24: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 00:36:37.424 ID:0uOnNdjN0
キョン「こ、古泉…?こんなところに連れ込んで、一体どういうつもりだ」

連れ込まれた場所が場所だけに、俺は警戒心を剥き出しにして、谷口にすら取らなかった臨戦態勢で不埒な古泉に相対した。

古泉「むふっ。ああ、そんなに警戒しなくて結構です。このような場所で、あなたに手を出すつもりはありませんよ。それはまた、次の機会に、ね」

そんな俺の敵意を物ともせず、気持ちの悪いことを気色の悪い笑みと共に吐き出す古泉に対して、俺は警戒心を緩めることなく、本題を促した。

キョン「それで、一体何なんだ。悪いが、こっちは取り込み中だ。話なら後にしてくれ」

古泉「いえ。僕が話したいのは、それですよ。そ・れ」

いちいち気持ちの悪い物言いをする古泉に、イライラが募る俺は、それがどういう意味か聞き出す前にこいつをボコろうと思い、拳を握り締めた。

しかし……

みくる「お、落ち着いて、キョン君」

その怨敵の背後に佇む小柄で可憐な朝比奈さんの姿を垣間見て、拳を緩めざるを得なかった。

25: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 00:38:16.217 ID:0uOnNdjN0
キョン「朝比奈さん。これは、一体どういうことなんですか?」

俺は話にならない古泉を放置することに決め、朝比奈さんへと詰め寄った。

みくる「ええっと……その、詳しくは言えないんだけど、今回の事件は未来における既定事項で……」

キョン「既定事項?この大惨事がですか?」

みくる「はい。ただ、私が手伝う訳にはいかなくて、だから、その……今回も、キョン君に頑張って貰うしか……」

歯切れの悪い朝比奈さんのその言葉を聞きながら、今回も相当禁則事項とやらに縛られているのだろうなと、そう思い、多くは聞かないことにした。

キョン「わかりました。まぁ、やるだけやってみますよ。そう言えば、長門はどうしたんです?」

ハルヒ絡みの案件にも関わらず、姿が見えない長門を探して周囲を見渡す俺に、頼んでもいないのに出しゃばってきた古泉が説明した。

古泉「長門さんは現在、職員室で情報操作に尽力されています。あなたが後先考えずに押した非常ベルの辻褄合わせに、ね」

後先考えずに押して悪かったな。
ああする他なかったんだよ。

28: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 00:40:01.835 ID:0uOnNdjN0
古泉「んふっ。もちろん、僕の方でもカバーをさせて貰います。もっとも、機関に出来ることは後始末ぐらいしかありませんが……」

後始末というと、通報によって駆けつけた消防隊員が新川さんや多丸さんだったり、婦警姿の森さんが見れたりするのだろうか?

古泉「何やら期待されているようですが、どうでしょう?いっそ、僕の婦警姿で我慢するt」

キョン「それじゃあ、朝比奈さん。既定事項とやらを上手くこなせるか、どうか見守っていて下さい」

本格的に気持ち悪くなり始めた古泉の妄言を遮り、俺は朝比奈さんに別れを告げる。
すると彼女は後光すら差しそうな、そんな麗しい微笑みをこちらへ向けて、

みくる「いってらっしゃい。頑張って、キョン君」

鈴を転がすようなそんな声で、俺を送り出してくれたのだった。

33: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 00:43:01.761 ID:0uOnNdjN0
トイレから再び廊下へ出ると、いくらか人混みも収まり、なんとか前へ進めるくらいになっていた。

これ幸いにと、急いで教室を目指す俺だったのだが、なんとも間が悪いことに厄介な障害が行く手に立ち塞がった。

ハルヒ「あっ!キョン!!あんた、どこ行ってたのよ!?」

お優しい団長は、どうやら姿を消した俺のことを心配して探して下さっていたようだ。
しかし、その優しさが今回に限っては裏目に出てしまった。

なんとかハルヒを出し抜いて、教室へ戻らなければならないのだが、さて、どうしたものか。

思案を巡らせる俺に、団長殿はズカズカと歩み寄り、そしてあろうことか、くんかくんかと匂いを嗅ぎ始めた。

キョン「お、おい!なんのつもりだ!?」

ハルヒ「いいから、ちょっと大人しくしてなさい!!」

仰天する俺を一喝して、ハルヒはくんかくんかと俺のことを嗅ぎ続ける。

35: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 00:44:51.857 ID:0uOnNdjN0
改めて、状況を説明しよう。

匂いを嗅ぐということは、当然鼻を近づける必要があるわけで、現在、ハルヒの顔面はかなり近い位置にある。

そんな、至近距離と言っても過言ではない、その近さに、思わずドギマギしてしまっていると、不意に彼女は匂いを嗅ぐのをやめ、こちらに向き直った。

ハルヒ「ふぅ。良かった。あんたが漏らした訳じゃないのね。突然消えるから、てっきりあの事件の犯人はあんたかと思ってたのよ」

なんと失礼な奴だ。

キョン「あのな、俺が授業中にうんこなんて漏らすわけないだろう?」

ハルヒ「そうね。もし漏らしてたら、退部届けを提出して貰うところだったわ!」

それは惜しいことを……いや、皆まで言うまい。

キョン「ハルヒ、俺は谷口の為に体操着を取ってくる。危ないから、お前は先に避難していてくれ」

ハルヒ「あんたってば、男友達ばっかり大事にしてると、そのうちホモになっちゃうわよ?部室内であんたを見つめる古泉君の視線なんて、もう、ほんっとすごいんだから!」

36: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 00:46:23.674 ID:0uOnNdjN0
いや、そんな身の毛のよだつ話はいいから、早く俺を解放してくれ。頼むから。

そんな切実な願いが通じたのか、

ハルヒ「まあ、あんたがホモになろうがどうなろうが、どうでもいいけどね!ただ、団員として恥ずべき行動は慎むこと!いいわね!?」

好機が到来した。

キョン「ああ、わかったよ。それじゃあ、ここで、俺がホモじゃないことを証明しよう」

ハルヒ「ふぇっ?」

キョン「おりゃ!」

キョトンと目を丸くするハルヒの柔らかな髪を、くしゃくしゃとかき回す。

ハルヒ「ちょ、ちょっと!やめなさいよ!」

キョン「じゃあな、ハルヒ。避難場所で待っててくれ」

髪をぐしゃぐしゃにされて、面白いように顔が真っ赤になったハルヒを置き去りにして、俺は教室を目指す。

あんなので、ノンケの証明になるかどうかは疑問だが、まさかこの場でキスをしてやるわけにもいかないので、あれで我慢して貰おう。

そんなヘタレな俺はついに、この事件の首謀者が待つであろう教室へと、舞い戻ったのだった。

37: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 00:48:05.663 ID:0uOnNdjN0
キョン「……よし!」

覚悟を決めて、ガラリと扉を開ける。
それと同時に、むわっと室内に充満した臭気が鼻をついた。

生徒達が出払い、がらんとした教室内は、既に教師の姿もなく、しん…と、静まり返っている。

そんな人気のない、便の香りが立ち込めるこの教室で、ただ一人、身じろぎもせずに座り続けるのは、もちろんこの事態を引き起こした犯人に他ならない。

朝倉「あら、遅かったわね」

キョン「やっぱり、お前の仕業だったんだな。……朝倉」

躊躇いがちにその名を口にした、俺の口腔内はカラカラだ。
ただ会話をするだけで、こうも恐怖を感じるとは、どうも俺に根付いたトラウマの根はかなり深いらしい。

38: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 00:50:03.308 ID:0uOnNdjN0
朝倉「事前に警告しておいたとは言え、なかなか鮮やかな手際だったじゃない。私が消えた後、一体どんな修羅場をくぐり抜けてきたのかしら?」

席についたまま、そんなことを言ってクスクスと笑う眉毛の太めな彼女からは、なんら敵意は感じられない。

しかし俺は、この女が笑顔のまま人を刺すことができる危険人物であると、知っている。

いや、人物と言っても、厳密に言えば朝倉は人間ではなく、長門と同じ宇宙人なのだが、こいつは長門とは違い強硬派だ。
警戒するに越したことはあるまい。

キョン「何が目的だ?」

取りつく島など与えずに、核心をつく。
近況報告などをする為に、わざわざこの危険な教室へと戻ったわけではないのだ。

39: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 00:51:28.499 ID:0uOnNdjN0
朝倉「私の目的は変わらないわ。現状の打破、打開。ただ、それだけよ」

俺の質問に対し、朝倉はそんな要領の得ない返答を返した。
どうやら、危惧していたSOS団への潜入が目的ではないらしい。

そのことに、ほっと胸を撫で下ろした俺だったが、彼女の言葉の意味を理解するまで油断は禁物だと、そう思い直し、その真意を聞き出すべく、詰問を続けた。

キョン「現状の打開と打破ってのはどういう意味だ。俺の生活をぶち壊そうってのか?」

朝倉「当たらずとも遠からず、と言ったところかしら。私が現在進行している作戦は、良く言えばあなたへの手助け、悪く言えば余計なおせっかいになるわね」

なんだそれは。
お前が脱糞したところで、何がどう俺への手助けになると言うのだ。
そんな手助けも、そしてもちろん余計なおせっかいもやめて、放って置いてくれることが、俺にとって一番の助けになるだろうよ。

40: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 00:53:03.617 ID:0uOnNdjN0
朝倉「そんな顔をしないでよ。あなたにとっても、そう悪い話じゃないんだから」

俺はきっと今、苦虫を噛み潰したような顔をしているのだろう。
そんな俺をとりなすように、朝倉は話を続ける。

朝倉「私が打開、打破したいのは、あなたの周囲の人間関係の硬直。その為に一石を投じさせて貰った、というわけ」

キョン「俺の人間関係……?」

朝倉「そう。ヘタレなあなたの背中を押す為に、私は再構成されて派遣されたの」

誰に?という疑問を飲み込み、俺はその言葉の意味を問いただす。

キョン「……どういう意味だ」

朝倉「言葉通りの意味よ。来る途中、涼宮さんとすれ違ったでしょう?その時、あなたは普段取らない行動をしなかった?」

言われてみれば、ハルヒの髪をかき回すなど、普段の俺からは考えられない行動だ。
つまり、こいつの狙いはそうした俺の行動から、硬直した人間関係とやらをどうにかしたい、ということらしい。

41: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 00:54:32.332 ID:0uOnNdjN0
キョン「話はわかった。だが、どうもお前の手のひらの上で踊らされているような気がして、不快だな」

ようやく事件の全貌を理解した俺は、もちろんその計画とやらに加担する気は毛頭なく、自分の行動をコントロールされたことに対する不快感を露わにした。
すると朝倉はまたクスクス笑い、それは杞憂だと言わんばかりに釈明する。

朝倉「別にあなたの行動をコントロールするつもりなんてないわ。あなたは自分が思うまま、自分の判断で行動していいのよ?」

そんな余裕綽々な態度が鼻についた俺は、ならばと、試しにこんな提案をしてみた。

キョン「なら、漏らしたお前の着替えを俺に手伝わせて貰おうか。自分の判断で行動していいんだろ?」

どうだ。
さすがにそんな行動は許容できまい。
と、思ったら……

朝倉「ええ。あなたが望むなら、そうしてくれて構わないわ」

朝倉はにっこり笑って、あっさりと、そのめちゃくちゃな提案を飲みやがった。

42: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 00:56:01.653 ID:0uOnNdjN0
キョン「そ、そうか。一応念を押しておくが、本当にいいんだな?」

朝倉「あら、今更怖気付いたの?やっぱりあなたはどうしようもないヘタレね。ちなみに、私は全然構わないわよ?」

そこまで言われたからには、男として、もう引くことはできまい。

キョン「……なら、早く立て」

朝倉「あらあら。強引なのね。わかったわ。ほら、これでいい?」

覚悟を決めた俺が、そう言い放つと、朝倉はゆっくりと重い腰……いや、湿った腰を上げた。

それに伴い、ボタボタと茶色い雫が滴り落ち、教室内を満たす臭気が一層強まる。

キョン「お前……いくらなんでもこれは、漏らしすぎなんじゃないか?」

朝倉「半端なことをしても、大した結果は得られないってわかりきってるんだから、仕方ないじゃない。それより、脱がせるなら早くしなさいな」

43: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 00:58:03.353 ID:0uOnNdjN0
思いっきりがいいにも程があるだろ。

そう思いながらも、俺は言われるがまま膝立ちとなり、彼女のスカートへと手をかける。
そして、それを引きおろそうとしたのだが……

長門「……待って」

バンッ!と勢い良く教室の扉を開けて現れた長門によって、それは阻止された。

キョン「な、長門?どうしてここに……」

長門「……あなたを、助けに来た」

困惑する俺に、長門はそう説明した。
しかし、助けにとは、穏やかじゃないな。
一体どういうことなんだ?

長門「……ここで朝倉涼子のスカートを下ろせば、あなたは涼宮ハルヒに抹殺される」

Why? 何故?

44: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 00:59:36.222 ID:0uOnNdjN0
キョン「ど、どういうことだ。俺が……抹殺?」

混乱する俺に、長門は冷酷に言い放つ。

長門「……そう。速やかに、抹殺される」

キョン「ま、待ってくれ。意味がわからないし、笑えない。ちゃんと説明してくれ」

そう懇願する俺に、長門は淡々と説明してくれた。

長門「……あなたは涼宮ハルヒに、『団員として恥ずべき行動を慎むこと』と、言い含められていた筈」

そういや、さっき話した時に、そんなことを言われたような気がするな。
しかし、それがこの件とどう関係するんだ?

長門「……今回のあなたの行動は、その恥ずべき行動にあたると、そう捉えられる」

いやいや、たかが漏らしてしまった同級生のスカートを脱がせるだけだろう?
それのどこが問題だと言うのだ。

45: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 01:01:01.591 ID:0uOnNdjN0
長門「……あなたがどうしても、朝倉涼子のスカートを脱がせたいというならば、私は止めない。その権限はない。だけど……」

キョン「……だけど?」

長門「……私を、信じて欲しい」

長門がここまで言葉を尽くして、自分の要望を伝えたことが、これまであっただろうか。
そして、そんな必死な訴えに対して、耳を貸さないという選択肢は、俺にはなかった。

キョン「……わかったよ。お前の言うことを信じよう」

長門「……ありがとう」

こちらをじっと見据えて、感謝の言葉を口にされると、どうもむず痒くてたまらない。
耐えきれず、俺が視線を逸らすと、そんなやり取りを見ていた朝倉がクスクスと笑い声を漏らした。

朝倉「あーあ。振られちゃった。それにしてもあなた達、随分仲良くなったのね。妬けちゃうわ」

46: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 01:03:18.091 ID:0uOnNdjN0
そんな戯言をほざく朝倉に、俺は聞いておかなければならないことがあった。

キョン「朝倉。長門の言葉を信じるなら、俺はあと少しでハルヒに殺されるところだったわけだが、それがお前の狙いだったのか?」

朝倉「そうね。もしそうなれば、観測史上最大級の情報爆発が引き起こされたでしょうね。それが、私にとって願ってもない展開であることには、間違いないわ」

キョン「最低だな……」

改めてこの眉毛の凶悪性を認識した俺は、吐き捨てるようにそう断じた。
しかし朝倉は、そんな俺を嘲笑うかのように、凶笑を深め、それは誤解だと弁明する。

朝倉「願ってもないと、そう言ったでしょう?だから、それを私が望んだわけじゃない」

キョン「じゃあ、誰の望みだって言うんだ」

追求を続ける俺の問いに、朝倉はより一層凶悪な笑みを顔に貼り付け、そして言い放った。

朝倉「あなたが望んだんじゃない。あなたが自分の判断で、私の着替えを手伝うことを決断した。ねぇ、そうでしょう?」

47: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 01:05:27.115 ID:0uOnNdjN0
キョン「ッ!?」

その一言に、愕然とする。
そうだ。俺の提案が発端となり、汚れたスカートを脱がせることになったのだ。
そんな、後先考えない自らの提案によって、俺は自分で自分を窮地に立たせてしまっていた。

そのことに気づいた俺は、自らの愚かさと罪の意識に押し潰されそうになって、膝から崩れ落ちる。

キョン「うぐっ……オェッ」

朝倉「ふふっ。あははははははっ!」

頭上に降り注ぐ、朝倉の嘲笑も相まって、胃の中の物が全部出てしまうような、強烈な吐き気に襲われた。

そんな無様な俺を救ってくれたのは……

長門「……あなたのせいじゃ、ない」

長門だった。

48: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 01:08:06.617 ID:0uOnNdjN0
朝倉「あら、長門さん。それはどういう意味かしら?」

長門「……違う。彼の意思では、ない」

完全に心を打ち砕かれた俺の背を優しく撫でながら、長門は俺を擁護してくれた。

長門「……彼に対して、あなたが行なった情報操作の結果、彼は望まぬことを口走ることとなった」

情報操作だと?
なんだそれは、どういうことだ。

朝倉「人聞きの悪いことを言わないでよ。私がいつ、どんな情報操作をしたって言うの?」

長門「……わざと彼を煽り、巧妙に退路を断つことで、自分の望む方向へと仕向けた」

言われてみれば、ついムキになってしまうような物言いを、多々された覚えがあった。
しかし、まさかあれが情報操作とは。
会話というのは、なんとも恐ろしいものだ。

朝倉「なぁんだ。全部お見通しなのね」

長門の的確な指摘に、朝倉はそれ以上反論することなく、両手を挙げて降参の意を示した。

49: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 01:10:03.059 ID:0uOnNdjN0
長門「……あなたはとても優秀。ただ、一つ一つの操作が甘い。だから、私に彼を説得させるだけの隙間が生まれた」

朝倉「その隙間を埋めるだけの信頼関係を構築出来なかった、というのが、敗因かしらね。もっとも、長門さんに消された私が、そんなものを構築出来る訳がないのだけど」

長門「……彼を誑かすのは、許せない」

口の減らない太眉に対し、長門は彼女にしてはかなり強めの口調で非難した。
しかし、朝倉はまたも、俺にしたように凶笑を深め、踊るようにその場で回りながら、声高に驚くべき真実を暴露した。

朝倉「だぁって、これも全部、あなたが望んだことじゃない。ねぇ、長門さん?」

50: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 01:13:10.679 ID:0uOnNdjN0
その言葉は、先ほど俺へ向けられたものと同じだが、向けられた対象が長門となると、少々意味合いは異なってくる。
それは暗に、この一件が全て長門の企てであり、首謀者であり、黒幕であると、そう言っているように聞こえる。

そして朝倉は言っていた。
自分は、何者かの手によって再構成され、そして派遣された、と。

いや、まさか、しかし、そんな。

長門「……違う。私はこんなこと……」

そう否定する長門の声は、いつも通り平坦なものだったが、微かに、確かに震えていて、まるで認めたくない何かから目を逸らすように、うな垂れた。

朝倉「ふふふっ。あははははははっ!!」

先程以上の上機嫌ぶりで、クルクルその場で回る朝倉のスカートから茶色い雫が飛沫となって飛び、長門の白い横顔を汚していく。

もう、これ以上は、見たくなかった。

キョン「もうやめろっ!!やめてくれ!!」

52: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 01:14:47.570 ID:0uOnNdjN0
朝倉「なぁに?あなただって、長門さんに騙されてたのよ?それでもまだ、長門さんを庇うの?」

騙されていた。
その言葉のナイフが俺の胸を抉る。

でも、たとえそうだとしても、俺は……

キョン「庇うさ。もしかしたら、現状の打開と打破を、無意識に長門は願ったのかも知れない。だけど!それでも!!」

一旦間を置き、目を見開いてこちらを見つめる長門の頭をくしゃりと撫で、俺は続ける。

キョン「それでも、長門はこうして助けに来てくれた。だから、俺は長門を信じる」

そうさ。
長門はこれまで俺の生命を何度も救ってくれた。

そして、今回も、だ。

だったら、今度は俺が長門を救うのが、道理というものだろう。

53: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 01:16:08.953 ID:0uOnNdjN0
朝倉「それがあなたの答え?」

キョン「ああ。そうだ」

きっぱりとそう断言して、長門を抱き寄せる。
すると朝倉は、呆れたようなジェスチャーをして、今度こそ本当に降参した。

朝倉「まったく、少し見ない間に本当に仲良くなったのね。まぁ、いいわ。あなた達の関係が進展したってことを、一応の成果としておきましょう」

そう嘯いてクスクス笑う朝倉の視線には、どこか手のかかる妹への気遣いみたいなものが混じっていて、張り詰めていた何かが緩むのを感じた。

キョン「なら、そろそろ帰ってくれ。成果を得られたなら満足だろう?」

朝倉「そうね。今日のところはこの辺にしといてあげる。ただ、また停滞するようなことがあれば、今度こそ本当にあなたを誑かしに来るから、そのつもりでいてね?」

勘弁してくれ。
ハルヒに抹殺されるのだけは、どんな死に方よりも御免こうむりたい。

54: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 01:18:05.839 ID:0uOnNdjN0
長門「……そんなこと、させない」

朝倉「あら、それならせいぜい彼を取られないように精進することね」

我慢の限界と言わんばかりに間に割って入った長門を、朝倉は挑発的な笑みで一笑に付し、そして……

朝倉「それじゃあ、またね」

キョン「またの機会は無しにしてもらいたいんだが?」

朝倉「うん、それ無理」

そんな、どこかで聞いた覚えのある言葉と共に、光の粒になって消えていった。

床に広がる便も綺麗に消え去った後、何故か茶色の染みが付いたパンツだけが残された。
淡い桃色の生地に、フリルが多めに施されたそのデザインと、アクセントの効いた茶色の染みとのコントラストが絶妙で、俺は迷うことなくそれを拾い上げた。

55: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 01:20:01.634 ID:0uOnNdjN0
長門「……ッ」

キョン「長門!?」

全てが終わったその瞬間、長門が膝から崩れ落ちた。
俺は慌てて彼女のもとへと駆け寄り、抱き起こす。

キョン「どうした!?大丈夫か!?」

長門「……大丈夫。本当に、ギリギリの戦いだった」

どうやら緊張の糸が切れて脱力してしまったようだ。
そんな満身創痍の長門に対して、俺は改めて心からの感謝を伝える。

キョン「ありがとな。またお前に助けられちまったな」

すると彼女は、小さく首を振り、

長門「……助けられたのは、私のほう。信じてくれて……ありがとう」

逆にこちらに感謝を告げた。

56: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 01:22:04.528 ID:0uOnNdjN0
キョン「長門……」

俺はそんな彼女のことが、どうしようもなく愛おしくなり、じっと見つめてると、不意に長門は瞼を閉じた。

長門「……ん」

これは、いいのか?
その、してしまっても良いのだろうか。
一瞬の逡巡の後、俺は引き寄せられるように、そのさくらんぼ色の唇に接近して……

谷口「WAWAWA忘れ物~……って、うぉっ!?」

訳のわからない歌声と共に、突然教室の扉を開け放った谷口と、目が合った。

長門を抱き寄せる俺の手には、当然朝倉のウンパンが握られており、そのあまりの気まずさに耐え切れず、すっと視線を逸らした先に、食いかけの弁当が放置された、奴の机が見えた。

このタコ野郎。
何度忘れ物をすれば気が済むんだ。

谷口「ご、ごゆっくりいぃぃぃ!!!!」

そんな俺の怒気が伝わったのか、谷口は足早に教室を去って行った。
おい、扉は閉めていけよ。

57: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 01:24:03.700 ID:0uOnNdjN0
その後。

結局、谷口に邪魔をされたことによって、ヘタレの汚名を払拭することは叶わず、俺と長門は揃って非難所に指定された校庭へと向かった。

ざわざわと野次馬根性剥き出しに騒ぐ生徒達の中に、見慣れたSOS団の面々を見つけ、歩み寄る。

ハルヒ「あっ!キョン!遅いじゃない!」

キョン「すまん。それより、谷口の奴を見なかったか?」

ハルヒ「あいつなら、いま先生達に説教されてるわ。どうやら、あいつが漏らしたうんちが臭すぎて、火災報知器が誤作動したみたいなの。ほんと、困った奴よね!」

なんと。
どうやって辻褄を合わせるのかと思っていたら、そんなことになっていたらしい。
まぁ、何はともあれ、先程の教室内での光景を言いふらされることがなかったようで、何よりだ。

ハルヒにでも知られたら、本当に抹殺されかねんしな。

58: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 01:25:19.796 ID:0uOnNdjN0
古泉「んふっ。どうやら、上手くいったようで何よりです」

ほっと胸を撫で下ろしている俺に、古泉が身を寄せて、囁いてきた。

近い。近い近い近い!!

離れろと言わんばかりに肘鉄を食らわせると、苦笑しながら古泉は距離を取った。

みくる「キョン君……無事で良かった」

そんな危険生物と入れ替わりに、しがみついて来た天使の姿に、俺はようやく肩の荷が下りた気がした。

キョン「やれるだけのことはさせて貰いました。これで良かったですかね?」

みくる「はいっ!」

疲れた笑みと共に、そう報告すると、朝比奈さんは満面の笑みで俺を労ってくれた。
それだけで、何もかもが報われた気がするのだから、不思議なものである。

60: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 01:27:15.284 ID:0uOnNdjN0
古泉「それで、朝倉さんはどうなりました?」

しかし、天使の施しに満たされた俺の気分は、そんな古泉の不躾な質問によって台無しにされた。

キョン「消えたよ。これだけ残して、な」

俺は不機嫌さを隠すことなく、ぶっきらぼうにそう言って、懐から朝倉のウンパンを取り出し、ハルヒに見られないように配慮しつつ、古泉に見せつけた。

古泉「……なるほど。つまり、朝倉さんはあなたに汚れた下着を受け取って貰えた。と、いうことですか」

なんだこいつ。
着眼点がおかしくないか?

キョン「まぁ、そういうことになるが、それがどうしたんだ?」

古泉「いえ。別にどうもしません」

なら、思わせぶりなことを言うな。

古泉「ただ、それはなんとも……」

キョン「ん?」

その時、通報によって駆け付けた消防車が到着した。

古泉「……羨ましいですね」

消防車のサイレンによって、その呟きはかき消され、俺の耳に届くことなく、

秋の高い空へと、

吸い込まれていったのだった。

FIN

61: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 01:34:53.396 ID:hDwjYfA8x
なんやねんwww
62: 以下、☺でVIPがお送りします 2016/11/06(日) 01:36:51.989 ID:NHinUXgI0
なかなか面白い
少し説明が回りくどいところあるけど



元スレ
タイトル:朝倉『教室で漏らしてあなたの出方を見る』キョン「……は?」 [☺]©2ch.net
URL:http://vipper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1478359160/
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