相模「それでは文化祭の定例ミーティングを始めます」

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

見たいSSカテゴリーは??

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1: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/04(日) 22:48:36.28 ID:CrnAKYrF0
八幡(何度目かの文化祭実行委員のミーティング)

八幡(相模が奉仕部に依頼に来たり、雪ノ下が副委員長に決まったりと色々あって)

八幡(頼りない相模が主導のミーティングが始まると思っていたのだが……)

相模「ではまず宣伝広報、よろしくお願いします」

モブ子「は、はい。こっちは──」

八幡(あれ、おかしくね?なんか、あいつがすごく仕事のできるやつに見えるんだが……)

相模「そうですか。ポスター作成については最悪当日にさえ間に合えば問題はないので、掲示物の作成と掲示箇所の交渉、それにHPの作成を優先して終わらせてください」

モブ子「わ、分かりました」

雪乃「…………」ポカン

八幡(おいおい、あの雪ノ下が驚きのあまりフリーズしてるぞ……)

相模「では次に──」

モブ男「はい、こちらは──」

相模「なるほど、では──」

八幡(すごい、なんだあれ)

八幡(返されてから答えるまでがスムーズすぎる。まるでどう返されるか知ってるみたいだ)

八幡(雪ノ下並の判断速度だ……陽乃さんでも乗り移ってんのか?)

相模「では、これでミーティングを終わりたいと思います。なにか伝えておくことがある人はいますか?」

皆「……」シーン

相模「無いようなので今日はこれまでにします。みなさん、明日からもお願いします」

八幡(考えごとしてる間に会議終わっちゃったよ……)

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4: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/04(日) 23:06:28.06 ID:CrnAKYrF0
八幡(そういやあいつは……)チラッ

雪乃「…………」ボーゼン

八幡(うわあ、完全にストップしてる……)

八幡(……まったく)テクテク

八幡「おい」

雪乃「ひゃっ……んんっ、あら何か用かしら比企谷君」

八幡「……お前今」

雪乃「何か用かしら比企谷君」

八幡「…………」

八幡(目が怖い……)

八幡(まあ照れて顔赤くしてる雪ノ下が見れたし良しとするか……ってなにそれ、俺が雪ノ下大好きみたいじゃん)

八幡「……いや、用ってほどでもないんだが」

雪乃「……相模さんのことでしょう」チラッ

八幡「……ああ」チラッ

八幡(俺たちの視線の先では、相模がいつもの二人組と一緒にワイワイガヤガヤと喋っている)

八幡(しかし、なぜだろう。いつもと同じはずなのに、相模の様子が全く違うように見えるのは)

雪乃「昨日と今日で明らかに違うわよね……」

八幡「偽物かと思ってつい凝視してたわ。もともとあいつのこと大して知らないから意味なかったけどな」

雪乃「気付かれなくて良かったわね。もしも相模さんがあなたの腐った目が自分に向けられていることに気付いていたら、今頃セクハラで通報されていたわよ」

八幡「見るだけで通報されるのか」

雪乃「ええ、だから今私が通報していないことに感謝しなさい」

八幡「理不尽だ……」

八幡(それよりも、通報されるとかなんとか言ってたが、相模は俺の視線に気付いてた気がするんだよな)

雪乃「……どうかしたのかしら?」

八幡「ああいや、なんでもない。ま、あれだな。仕事が出来なくなったんならともかく、出来るようになったんだから文句はないし、このままでもいいんじゃないか?」

雪乃「……そうね、それにしばらく様子を見ないことにはなにも分からないのだから」

八幡「だな。じゃ、俺は帰るわ」

雪乃「ええ、さようなら」

八幡「ん」

八幡(さてと、自転車を取りに行くか)

8: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/04(日) 23:23:05.75 ID:CrnAKYrF0
下駄箱

八幡「…………」ガチャ

八幡(……?なんか入ってるな。これは……手紙!?)

八幡(薄いピンク色の手紙が入ってるとかマジかよ。ラブレターじゃねえか!) 

八幡(……なんてな)

八幡(どうせまたドッキリかなんかだろ。面倒だしスルーするか……)

八幡(一応読んでおこう。えーとなになに……『比企谷へ 公園で待ってます 相模南』)

八幡「……相模?」

八幡(なんであいつが……もしかして今日の別人ぶりに関係あるのか?)

八幡(……行ってみるか)

9: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/04(日) 23:25:40.00 ID:CrnAKYrF0
公園

八幡「……お前が俺を呼び出すなんてな」

相模「……来てくれたんだ」

八幡「ま、一応な。それで、何の用だ?依頼のことなら雪ノ下が担当してるから俺よりあいつに言った方がいいぞ」

相模「そのことじゃないよ……長い話になるかもだから座って」

八幡「……分かった」ストン

相模「…………」

八幡「…………」

八幡(え、何でこんな静かなの。何か話してくれないですかね、ちょっと緊張してきちゃったよ)

相模「あの……まず謝りたいことがあるんだ」

八幡「……?」

相模「その……夏祭りの時のことと依頼した時のこと……」

八幡「……ああ、あれか」

相模「ウチ、すごく嫌な態度してたよね……ごめんなさい」

八幡「俺は慣れてるから別に気にしない。それより雪ノ下と由比ヶ浜に謝るべきだろ」

相模「そうだね……明日謝っておく」

八幡「話はこれだけか?冷えるからもう帰りたいんだが……」

相模「ごめん、もうちょっとだけ……あ」テクテク

八幡(急に歩き出してどうしたんだ……ああ、自販機か)

相模「…………」テクテク

八幡(あ、戻ってきた。早いな)

相模「これ飲みながら、もう少し話聞いてもらってもいい?」

八幡「お、おう……」

八幡(MAXコーヒーだと……!)

八幡「MAXコーヒー買ってくるなんて分かってるじゃないか」

相模「結衣ちゃんに比企谷がそれ好きだって聞いたから」

八幡(由比ヶ浜に聞いた……?)

八幡「それ、いつ聞いたんだ? お前って由比ヶ浜が二年になってからはあんまり話してなかったんじゃ……?」

相模「その……卒業式に聞いたの」

八幡「は……? 中学の卒業式のことか?いやでもそれじゃあ俺のことなんて知ってすら……」

相模「もちろん高校の卒業式だよ。そこで教えてもらったの」

八幡「??」

相模「これから言うことは信じてくれなくていいんだけどさ……」

八幡「お、おう……」

相模「今日のウチ、変だったでしょ?」

八幡「ああ。なんつーか優秀すぎる。昨日までのお前と他の誰かの魂だけ入れ替えたようだった」

相模「その通りだよ」

八幡「……?」

相模「今ここにいるウチの魂は──」

相模「──未来から来た相模南のものなんだ」

19: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/05(月) 09:20:38.92 ID:teM4eogz0
八幡「…………」

相模「……思った通り、変な顔してる」

八幡「い、いやだって……んなこと言われたら誰だっておかしな顔になるだろ」

相模「まあそうだね」

八幡「未来から来たって……なに、俺ってキョンみたいな立場なの?禁則事項なの?」

相模「何言ってるの?」

八幡「わ、悪い……」

相模「ウチは朝比奈さんみたいに可愛くないよ」

八幡(アニメネタが通じる!?)

八幡「お前……どうして……」

相模「大学に行っても暇だったから、比企谷がアニメ好きって結衣ちゃんに聞いてたの思い出して見始めたんだ」

八幡「……?」

相模「あ……ごめん、今は高校生なんだよね……」

八幡「お前にとっての今は大学生なのか?」

相模「うん……正確には大学一年の今日。昨日普通に眠って、目が覚めたら……なぜか二年前の今日になってた」

八幡「……お前の言ってることをひとまず信じるとして……お前はどうして欲しいんだ?こんなことを言ってきたんだから何かしてほしいことでもあるんだろ?」

相模「うん……お願いがある」

八幡「それは──」

相模「その前に、聞いて欲しいの」

八幡「何をだ?」

相模「ウチのいた未来で……一周目の未来で比企谷がどうなったのか」

28: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/05(月) 21:15:47.53 ID:teM4eogz0
八幡「……どうなったんだ?」

相模「結果から言うと比企谷が本当の意味でぼっちになった」

八幡「本当の?俺は今でもぼっちなんだが」

相模「雪ノ下さんたちがいるでしょ?」

八幡「それは……まあそうだが」

相模「文化祭の最終日……ウチのために比企谷が悪役になって……」

八幡「俺がお前のために?なんで?」

相模「結衣ちゃんが……あ、ここで言う結衣ちゃんは一周目の結衣ちゃんね。その結衣ちゃんが言うには……比企谷は優しくて誰でも助けるからだって……」

八幡「俺としては信じられないけどな」

相模「それでも、本当に比企谷はウチのために悪役になってくれたの」

八幡「それで?」

相模「それで……奉仕部の二人は比企谷が誰かのために自分を犠牲にする比企谷のことが許せなかった。そんなギクシャクした関係のまま、修学旅行でもまた比企谷が自分を犠牲にした」

八幡「修学旅行?俺は一体どんな風に犠牲になったんだよ」

相模「比企谷が海老名さんに告白したらしいよ」

八幡(俺になにがあったんだ!?)

29: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/05(月) 21:36:36.45 ID:Ralarn3R0
相模「それで、その後の生徒会選挙では……犠牲にはならなかったらしいんだけど、雪ノ下さんとすれ違いが起こったらしくて」

八幡「すれ違い?雪ノ下と俺がすれ違うなんていつものことだろ。噛み合ったことなんてないし。むしろ誰とも噛み合なってないまである」

相模「ま、まあそうなんだけどさ……」

八幡(肯定されちゃったよ……)

相模「とにかく、そうやって奉仕部の人たちとの心の距離が開いていって、三年の夏ごろに比企谷は奉仕部から去るの」

八幡「俺が奉仕部から……」

相模「それだけじゃなくて、戸塚君ともざ、材……なんとかって人とも距離を取り始めたらしくて」

八幡「未来の俺戸塚と距離取ったのかよ。死ねばいいのに」

相模「そんなに!?戸塚君好きすぎない!?」

八幡「いや、これでもセーブしてる方だけど」

相模「そ、そうなんだ……」

八幡(なんかドン引きされてる気が……まあいいか、相模だし)

相模「えーと、それで、もう誰とも関わりたくなくなった比企谷は、それでも手を差し伸べる奉仕部の二人を徹底的に遠ざけて最終的に……」

八幡「…………」

相模「雪ノ下さんのお姉さんを敵に回したの」

八幡「うわあ……」

八幡(それ聞いただけで未来の俺が終わったのが分かる……あの人敵に回すとか死亡宣告と同じかそれ以上だろ)

相模「雪ノ下さんが少し驚きながら話してたよ。比企谷は妹さんとも距離を取ってたらしくて『もう誰も守らなくていい』状態になったみたいでさ。その状況のおかげか雪ノ下さんのお姉さんと真っ向から戦って勝ったって」

八幡「え」

八幡(俺勝ったの?あの完璧超人に?それすごくね)

相模「それでお姉さんに勝ったのを最後に比企谷は誰とも連絡を取らなくなって……」

八幡(なるほど。それで未来の俺は行方不明ってわけか……)

相模「葉山君と一緒に行方不明になっちゃったの」

八幡「はあ!?」

40: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/06(火) 00:02:05.03 ID:h2+IIHXJ0
相模「あ、大丈夫だよ!風の噂だとちゃんと二人仲良く生きてるらしいから!」

八幡「なんで行方不明のやつのそんな情報だけ風の噂で手に入ってんだよ!いや情報源大体分かるけど!」

相模「へ?すごいね、情報源分かるんだ」

八幡「どうせ海老名さんだろ?」

相模「三浦さんだよ」

八幡「み、三浦?」

相模「その……葉山君が行方不明になったショックで……海老名さん側の人間になっちゃった」

八幡「うわあ……」

相模「BL同人誌界姫と女王としてその名を知らしめてるよ。知らない人はいないんじゃないかな」

八幡「……お前はなんで知ってんの?」

相模「…………」ギクッ

八幡「ああ、うん……まあ趣味は人それぞれだからいいんじゃないの……」

相模「ちょ、そんなあからさまに距離取らないでよ!違うから!まだ一歩目を踏み入れかけてるだけだから!」

八幡「お、おう……」

相模「うぅ……」

八幡「……つーかそれにしても、俺の未来すごいことになってるな。かなり最悪な方向で」

八幡(特に俺の最後。いやもう最期。海老名さんに告白してどうせ振られたんだろうし、そのショックで男に走ったのか)

八幡(俺もう絶対に告白とかしねえ……もとからする気もないけど)

44: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/06(火) 00:20:26.91 ID:h2+IIHXJ0
相模「……ごめんね、ウチのせいで……」

八幡「いや、今謝られても困る。俺はまだ何もしてないんだから」

相模「それでも……ごめん。ウチがいなかったら、もっと違う未来になってたはずなのに」

八幡「お前がいなくても多分同じ未来だよ。……それで、結局何なんだ、俺へのお願いっていうのは」

相模「うん……こんなことウチに言う資格はないんだけど……お願いだから自分を犠牲にしないで」

八幡「…………」

相模「比企谷は『犠牲なんかじゃない』ってずっと言ってたらしいんだけど、それでも見てる側としてはすごく辛いんだよ。だからお願い……自分から傷つきに行かないで。ウチもこの時間で頑張るから」

八幡「……ま、お前が頑張るって言うんなら俺が傷つく必要もないしな。分かったよ。出来るだけそうする」

相模「出来るだけじゃなくて、絶対」

八幡「わ、分かった。分かったから顔近づけるな」

八幡(ドキっとしちゃうだろ)

八幡「それで、お前はいつ未来に帰るんだ?」

相模「……あ。そういえば、ウチってどうやって戻るんだろ……」

八幡「おい……」

相模「昨日寝たらこの時間に来てたんだから……もしかして今日寝たら未来に戻るのかも?」

八幡「それじゃあ、何も変えられないじゃねえの?」

相模「そ、そうだね……え?じゃあウチどうすればいいの?」

八幡「俺に聞くなよ」

相模「ま、まあ今日のうちに出来ることはやってみるよ。もし明日も戻ってなかったらその時は伝えるから」

八幡「いや別に伝えなくてもいいけど」

相模「あ……うん……」

八幡(なんでそんな悲しそうな目してるんだよ……)

八幡「……お前は未来のために頑張る、俺は未来のために頑張らない。これでいいんだよな」

相模「うん……」ショボン

八幡「じゃあもし、なんかやばいフラグとか建ったらそん時は相談してくれ」

相模「!……わ、分かった!」パァァ

八幡(こいつ分かりやすいなー)

相模「こっちに来てからずっと不安だったけど、比企谷と話せてよかった」

八幡「そりゃよかったな」

57: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/06(火) 09:21:47.63 ID:h2+IIHXJ0
相模「……ねえ比企谷」

八幡「まだ何かあるのか?」

相模「もし、もしだよ?ウチが未来に戻らなくてずっとこの世界で生きることになったら……その時は、ウチと──」

結衣「あれ、ヒッキー?」

相模「っ!」ビクッ

八幡「あん?なんでお前がこんなとこいるんだ?」

結衣「サブレの散歩してたらこっちに引っ張られちゃって……えへへ」

八幡「それお前がサブレに散歩してもらってるんじゃねえの?」

結衣「ちょ、ひどすぎだし!……って、え?さがみん?」

相模「あ、うん……やっはろー」

結衣「やっはろー!……って、ええええ!!!なんでさがみんとヒッキーが二人でこんなところに!?も、もしかして二人って……」

相模「ち、違うよ!その……実行委員のことでちょっと相談があって、それに付き合ってもらってだけなの」

結衣「な、なーんだ。てっきりデートしてるのかと思っちゃった」

相模「もう、結衣ちゃんは昔から比企谷のことになると早とちりするね」

結衣「あはは、ごめんごめん……ん?あれ、一年のころってさがみんとヒッキーのこと話してたっけ?」

相模「あっ……そ、それは……その……」

八幡「……由比ヶ浜、サブレがそろそろ暴れ始めたぞ」

結衣「うわあ!!ほ、ホントだ!!二人とも相談の邪魔してごめんね!あたしもう行くから!」トタタ

サブレーヒッパラナイデー

相模「あ、ありがと……」

八幡「気にすんな……じゃあ俺そろそろ行くわ。MAXコーヒー飲み切っちゃったし」

相模「……うん、それじゃあ、多分また明日」

八幡「ああ」

相模「お願いのこと!忘れないでね!」

八幡「……分かってるよ、じゃあな」

66: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/06(火) 17:23:17.63 ID:mn7PR6U/0
翌朝 下駄箱

八幡「ふああ……ねむ……」

八幡(なんで学校ってこんな朝早くからあるんだよ……もう昼過ぎからでいいだろ)

相模「あっ……」

八幡「あ」

相模「えっと……や、やっはろー」

八幡「あー、うん、分かった」

八幡(この様子だと未来に戻ってないみたいだな……しかし『やっはろー』ってどこまで流行ってんだ?)

相模「あの、比企谷」

八幡「なんだ?」

相模「上手く思い出せないんだけど……今日、何かある」

八幡「お、おう」

八幡(何かってなんだ……超気になるんだが)

相模「ごめん、それだけ。じゃあまた後で」

八幡「…………」

八幡(……帰りたい)

67: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/06(火) 18:44:04.73 ID:mn7PR6U/0
廊下

八幡「あー……働きたくねえ……」

葉山「ははは……」

八幡(葉山にすら苦笑いされる……さすが俺、もうそこまでのレベルに達しているのか)

八幡「っていうかなんでお前付いて来るの?なんで当たり前みたいに横歩いてるの?」

葉山「有志団体の申し込みに行くってさっきも言ったじゃないか」

八幡「よく考えたら一緒に行く意味ないだろ」

葉山「一緒に行くのに理由なんていらないだろ」

八幡(なんだろう……何気ない言葉のはずなのに寒気を感じる)

八幡(相模の言ってた未来のせいか……ちょっと離れとこ)

葉山「はは、いくら嫌だからってそんな離れることはないんじゃないかな」

八幡「そ、それもそうだが、だからってなんで近づいてくるんだよ」

葉山「気にしないでくれ」

八幡(いやー!やめてー!俺すでに狙われ始めてるー!)

八幡「って、あん?なんだあれ?」

葉山「ん?……会議室の前、すごい人だかりだな。部屋の中で何かあったのか?」

八幡(人多すぎて入れなかったので帰りましたって言ったら許されるかな……いや殴られる、やめとこう)

葉山「なにかあったの?」

モブ子「部屋の中に知らない人がいて……」

葉山「知らない人?……ああ」

八幡「どうしたんだ。急に諦めきったような声出して……ああ」

葉山「俺の気持ち分かっただろ?」

八幡「よく分かった」

八幡(あいつの言ってた『何か』ってこれか……ちゃんと思い出せよ相模。こんなん分かってたら殴られようとなにされようと全力で帰ったのに)

八幡(こんな……)

陽乃「雪乃ちゃん、ひゃっはろー」

八幡(魔王が襲来してるなんて……)

72: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/06(火) 20:18:07.98 ID:mn7PR6U/0
会議室

雪乃「姉さん、何をしに来たの?」

陽乃「そんな怖い顔しないでよー。私はただ、有志団体の申し込みに来ただけなんだから」

雪乃「そう。ならこれに必要事項を書いて早く帰ってちょうだい」

陽乃「おやおや?意外だなー、雪乃ちゃんが私の参加を嫌がらずに許可するなんて」

雪乃「許可しない理由がないだけよ。それに私は副委員長だから、そもそも許可をする権利もしない権利もないもの」

陽乃「雪乃ちゃん委員長やらなかったんだ。じゃあめぐり?……は違うか」

相模「ウ、ウチです!」

陽乃「?」

相模「あ、だ、だから……委員長はウチがやってます……」

陽乃「……へえー」

相模「ひっ」ゾクッ

相模(二週目なのに……この人に太刀打ち出来る気がしない!一周目でこの人に勝った比企谷は一体何者なの!?)

相模「は、初めまして雪ノ下さん。相模南です」

陽乃「初めましてー。その様子だと私のこと知ってるみたいだね」

相模「あ……え、ええ」

陽乃「誰から聞いたの?」

相模「へ?」

陽乃「だから、私のこと誰から聞いたの?なんていうか、君の性格から見て、私のことを知ってるって少し違和感があるんだよね」

相模(そ、そんな違和感普通感じる!?ほんとこの人なんなの!)

相模「それはですね……」

陽乃「…………」ニコニコ

相模(どうしよう、先輩から聞きましたとかじゃ納得してもらえる気がしないし……この人ともウチとも繋がりがある人は)チラッ

比企谷「…………」ポケー

相模「!……ひ、比企谷があなたのことをよく話していたので!」

陽乃「比企谷君が私のことを?」

相模「は、はい!その……」

相模(比企谷が話しそうなこと……えーと……)

相模(比企谷は捻デレ、比企谷はこの人が苦手、この人めちゃくちゃ美人……)

相模「『俺、実は陽乃さんが好きなんだよ』っていっつも話してるんです!」

雪乃「」

陽乃「」

葉山「」

八幡「タイム!」

84: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/06(火) 21:00:56.92 ID:h2+IIHXJ0
人通りのない廊下

八幡「相模、この時間の俺はもう終わった。三周目行ってこい」

相模「ま、まだ大丈夫だよ!ギリギリで!」

八幡「余裕で終わったわ!危なっかしいとは思ってたが、よりにもよってなんであの人相手にヘマするんだよ!」

相模「こ、怖くて……」

八幡「気持ちは分かるが……はあ…………マジでどうしよう」

相模「ご、ごめん……ウチがなんとかしてくる!」

八幡「なんとか出来るのか?」

相模「ウチは今強くてニューゲーム中なんだから!任せて!」

八幡「……そう言われりゃそうだな。とっとと魔王様を倒してきてくれ勇者様」

相模「ごめん、そこまでは無理」

八幡「……おい」

85: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/06(火) 21:03:45.74 ID:h2+IIHXJ0
再び会議室

陽乃「あ、おかえりー」

相模「た、ただいまです……あのさっきのことなんですけど」

陽乃「比企谷君のこと?」

相模「はい。テンパってちょっと違うこと言ってて……」

陽乃「ふーん、正確にはなんて言ってたのかな?」

相模(えーと比企谷が言いそうなこと……あ、そうだ!比企谷ってシスコンだ!)

相模「『陽乃さんのことも好きだけどやっぱり本命は雪ノ下だな。あいつは妹属性付いてるし』って言ってました!」

雪乃「///」カァァァ

陽乃「……」イラッ

葉山「」

八幡「テクニカルタイムアウト!」

91: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/06(火) 21:11:18.36 ID:h2+IIHXJ0
また廊下

八幡「じゃ、ちょっと俺の人生リセットしてくるわ」

相模「どこ行くの!?待って!」ダキッ

八幡「のわっ!?」

相模「ま、まだ助かるよ!まだ助かる!マダガスカル!」

八幡「やかましいわ!」

八幡(ちょっと和んだじゃねえか……っていうかさっきから柔らかいのが当たって俺の八幡がレボリューションしそうなんだが!)

八幡「…………と、とりあえず離れろ」

相模「あ、ごめん……えっと、それでどうしようか……」

八幡「もうお前が緊張してただけで、全部嘘でしたでいいんじゃねえの?俺が陽乃さんについて話してたのは……まああの人苦手なんだ的なのでいいだろ」

相模「そ、そうだね……」 

八幡「じゃ、行くぞ」

相模「うん…………」

92: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/06(火) 21:16:18.97 ID:h2+IIHXJ0
会議室アゲイン

八幡(結局さっき言った口実で陽乃さんはなんとかできた)

八幡(ただ、相模が俺の物真似をしながら言った『俺あの人チョー苦手なんだよねwww』という言葉にはあの陽乃さんが表情で分かるほどイラッとしていた)

八幡(俺もちょっとイラッとした)

八幡(あと葉山はすぐに帰った。というか俺が帰らせた)

八幡(なんか知らんがあいつと一緒にいると頭の中で『キマシタワー!!』というフレーズがリピート再生されるんだが……誰か助けて……)

相模「…………」カタカタ

陽乃「あの子すごいねー。雪乃ちゃん並に優秀なんじゃない?」

八幡「まさか、雪ノ下の方がすごいでしょう。あと仕事の邪魔なんでどっか行ってもらっていいですか」

陽乃「雪乃ちゃんのことは素直に褒めるんだね。もしかしてさっき委員長ちゃんが言ってたことは本当なのかなー?」

八幡「違いますよ。あれはあいつが適当に言ったことです。あと本当に仕事の邪魔なんでどっか行ってください」

陽乃「ねえねえ。あのなんとかちゃんとはなんで話すの?」

八幡「相模ですよ。話す理由なんてそんなの、クラスメイトだからです。あとマジで仕事の──」

陽乃「私相手に嘘はいけないなー。お仕置きしちゃうよ?」

八幡「…………なんで嘘だなんて思うんです?」

陽乃「あはは、だって比企谷君がクラスメイトだからなんて理由で仲良くお喋りするわけないもの。クラスメイトだからお喋りなんてしないって言われた方が納得できるよ」

八幡「…………それは」

雪乃「姉さん、いくら暇だからといって雑用係に絡むのはやめてもらえるかしら」

八幡「雑用じゃねえよ」

雪乃「あなたも、手が止まっているわよ」

八幡「へいへい……で、何の用だよ?」

雪乃「用?」

八幡「いやこっちに来たのはなんか記録雑務に用があんだろ?」

雪乃「あ……それは……」

陽乃「もう、比企谷君は鈍感だね。雪乃ちゃんがこっちに来た理由なんて君とお喋りしたいからに決まってるじゃない」

雪乃「なっ……ね、姉さん。適当なこと言わないでもらえるかしら。確かに彼に注意をするために来たのだから最終的にはその捉え方でも間違いではないけれど、だからといって姉さんが言外に含ませた意味とは──」

相模「あのー」

雪乃「まったく違うのよ、相模さん!」

相模「はい!?」

93: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/06(火) 21:17:16.68 ID:h2+IIHXJ0
八幡「雪ノ下、いったん落ち着け」

雪乃「あっ……ご、ごめんなさい。なにかしら?」

相模「あ、うん……そのさ、みんな頑張ってるからあまり騒がないでほしくて」

雪乃「…………ごめんなさい」

陽乃「雪乃ちゃんたらー」

雪乃「っ、元はといえば姉さんが……!」

八幡「あー、相模。ちょっとこの書類のことで相談があるんだが」

相模「え?なに?」

八幡「ここで話すより実際に見てもらった方が早いし、場所変えて話そうそうしよう」

相模「え、ちょ、ちょ、比企谷?どこに連れてくの!」

陽乃「やーん、比企谷君ってば積極的ー。雪乃ちゃんも頑張らなきゃね」

雪乃「だから適当なことを──」

八幡「じゃ、ちょっと出てくるわ」

雪乃「ま、待ちなさい!」

八幡「…………」スタスタ

94: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/06(火) 21:19:32.07 ID:h2+IIHXJ0
廊下アゲイン

八幡「疲れたー」

相模「もしかしてあの場所から逃げるのにウチのこと使った?」

八幡「ああ、悪いな」

相模「いや、役に立てたならいいけど……」

八幡「ふう……それでこのあとどうなるんだ?覚えてることだけでもいいから教えてくれ」

相模「こ、このあとは……確か、またウチのせいで雪ノ下さんに迷惑が……」

八幡「迷惑?」

相模「そう。ウチが変なこと言ったから人が委員会に来なくなっちゃって、その分雪ノ下さんが頑張って熱を出しちゃう……って展開だったはず……」

八幡「それなら心配はいらないか」

相模「うん、変なことは絶対に言わないから安心して」

八幡「その後のことは覚えてるのか?」

相模「スローガン……だったかな。それにクレームが来て、その時に比企谷が悪者になってみんなが来るようになるの」

八幡「どんな方法使ったんだよ俺……」

相模「それで、比企谷が悪者になったまま文化祭になって……そこで色々あって……」

八幡「お前が恐れてることが起きたのか」

相模「うん……」

八幡「今回はお前も働いてるみたいだし、大丈夫みたいだな」

相模「……雪ノ下さんのお姉さん」

八幡「陽乃さんがどうかしたのか?」

相模「二周目なのに、あの人には全然勝てる気がしないし、なんか危険な香りがする……」

八幡「確かにな……まあでも、未来知ってるやつがこっちにはいるんだし、なんとかなるだろ」

相模「そ、そうだよね」

八幡「よし、じゃあ戻るか」

相模「うん!」

95: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/06(火) 21:25:18.37 ID:h2+IIHXJ0
また会議室だよ

陽乃「作業も進んでるみたいだし、少しペース落としてもいいかなー?」

皆「いいともー!」

相模「」

八幡「なにやってんすか……」

陽乃「あ、二人ともおっそーい」

めぐり「今ね、はるさんが文実よりクラスの方を優先させてもいいんじゃないかって言ってるんだけど……」

雪乃「私は反対だわ。確かに順調には進んでいるけれど、だからといって」

陽乃「雪乃ちゃん、かーたーいー。委員長ちゃんは賛成だよね?」

相模「だ……ダメです!!!!」

皆「!?」

八幡「おい相模」

相模「あ……あのえっとその、今雪ノ下さんが言ったように何があるか分かりませんし、だからえっと……」

陽乃「……そっか、ダメかー」

相模「え?」

陽乃「委員長ちゃんに反対されちゃー無理かな。今回は諦めるよ」

相模「あ、ありがとうございます……」

八幡「……」

陽乃「そんなに怖い顔しないでよ比企谷君。今回は別になにか企んでる訳じゃないんだから」

八幡「今回は、ですか」

陽乃「そ。今回は、ね」

相模「あ、あの」アセアセ

雪乃「相模さん、その二人は放っておいて構わないわ。それよりこの書類に目を通して」

相模「うん……」

相模(陽乃さんは確か雪ノ下さんのために雪ノ下さんを苦境に立たせてるんだよね……でもこのあともわざわざ無理して雪ノ下さんを追い込むなんてことするとは思えないし……)

相模(だとするとこの後の問題は雪ノ下さんの体調と比企谷のスローガンだけ)

相模(それもこのままなら問題ないよね)

相模(でもなんだろう……大事なことを忘れてるような……)

雪乃「相模さん?ボーッとしていないで」

相模「あっ、ごめん。これだよね?」

相模(……あれ?)

相模(もしこのまま何一つ問題のない文化祭になったら比企谷と雪ノ下さんは……)

相模(ずっとこのまま……?)

107: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/07(水) 20:31:17.16 ID:ZOYkxUh90
翌日 朝のHR

平塚「今日、相模が熱を出して休んでいる」

結衣「(大丈夫かな?)」アイコンタクト

八幡「…………」

結衣「(何か聞いてる?)」アイコンタクト

八幡(なんであいつ、さっきから俺のこと睨みつけてるの……)

平塚「あと、このあと比企谷は私のところに来るように。HRはここまでだ」

ガヤガヤ

八幡「なんすか」

平塚「悪いんだが、今日相模の家に見舞いに行ってもらっていいか?」

八幡「文実の会議が……」

平塚「それは休んで構わない。私から言っておく」

八幡「あの、なんで俺なんですか?いつもあいつの周りにいるあの……アレとか、もう一人のアレとかでいいじゃないですか」

平塚「両方名前を覚えていないんだな……いやな、さっき二人に聞いてみたんだが、放課後は予定があるらしいんだ」

八幡(……あんな見てるだけで鳥肌が立ちそうな薄い友情ごっこなんて、実際はこんなもんか)

八幡(いや、ごっこでもせめて見舞いくらい行ってやれよ)

八幡「それにしたって、俺なんて選択肢はないでしょう。雪ノ下あたりに言ったら、即通報されるんじゃないですか」

平塚「その雪ノ下の推薦だよ」

八幡「は?」

平塚「最近、彼女と仲がいいらしいじゃないか。少し驚いているよ」

八幡「別に……」

平塚「ま、そういうわけだ。頼んだぞ。あと相模の家に行ったときに決裁印を取ってきてくれ」

八幡「それが見舞いに行かせる本当の理由ですか……」

108: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/07(水) 21:13:17.63 ID:ZOYkxUh90
平塚「はっはっは、ふてくされるな。見舞いに行ってもらう代わりに、今日は委員会に出なくていいんだから」

八幡「雪ノ下になんて言われるか……」

平塚「随分と雪ノ下のことを気にするじゃないか」

八幡「……っ、別に」

平塚「悩みがあるなら一人で抱え込むんじゃない。誰かに相談するだけで楽になるぞ。誰にも相談できないような悩みならラーメンでも食べながら私が聞こう」

八幡「大丈夫です」

平塚「……そうか。無理強いはしないが、抱え込みすぎて相模みたいに倒れるなよ?……そうだ、周りの人間に相談できないなら、少し距離のある相模あたりに相談してみたらどうだ?最近しっかりしてきたように見えるし、案外面白い答えを返してくれるかもしれないぞ」

八幡「相模に?」

平塚「ただの思いつきだ。特に気にしなくてもいいさ。それでは私は行くよ」

八幡「は、はあ」

八幡(相模……確かに言われてみれば、相模なら俺と雪ノ下がどういう紆余曲折を経たのか知ってるんだもんな)

結衣「ヒッキー、なんの話してたの?」

八幡「なんか、相模の家に見舞いに行けってさ」

結衣「ひ、ヒッキーが!?え、ええ……」

八幡「なんでそんな不満顔なんだよ」

結衣「だって……あたしも行く!」

八幡「来るな」

結衣「なんでよ!」

八幡「お前仕事あるだろ」

結衣「う」

八幡「行ってなにかするんじゃなくて、決裁印取ってこいってだけだ。お前の想像してるようなことは起こらねえよ。つうか起こってたまるか」

結衣「な、なんだ……って!あたし何も想像してないし!」

八幡「はいはい」

結衣「うー!」

113: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/07(水) 22:24:52.74 ID:ZOYkxUh90
相模家前

八幡「はあ……」

八幡(家の場所聞くために結局会議室行かなきゃならなかった……)

八幡(雪ノ下はなんなんだ。自分で推しときながらなんで不満そうな……ああ、俺が仕事しなくてもよくなったからか)

八幡(……こんな感じのことを考え続けてすでに20分)

八幡(奇跡的に通報されてないが、さすがにそろそろ覚悟を決めるべきか)

八幡「すうーはあー……よし」

ガチャ

八幡「え」

八幡(人がインターホン押そうとした瞬間に扉開くとか、さっきの俺の深呼吸返して欲しいんだが)

相模母「あら?もしかしてあなたが、比企谷君かしら?」

八幡「へっ、えっ、あ、はい」

八幡(どもり過ぎだろ俺、自分で言うのもなんだが完璧不審者じゃねえか)

相模母「そっかー、君が比企谷君かー」

八幡「相模さんのお見舞いに来ました」

相模母「ありがとうね、ささ、上がって上がって」

八幡「ども……あの、なんで俺の名前知ってたんですか?」

八幡(クラスメイトにすら知られてないのに)

相模母「さっき、平塚っていう先生から連絡があったのよ」

八幡「なるほど……」

八幡(どおりですんなり上げてくれたわけだ)

相模母「あとは娘が最近あなたの話をよくしてくるから」

八幡「え?」

相模母「じゃあこの階段昇ってすぐのところに南の部屋あるから。私はちょっと買い物に行かなきゃならないから南のことよろしくねー」

八幡「は?ちょ、待っ」

ガチャン

八幡(気づいたら扉がしまっていた……動き速すぎだろ)

八幡「……つーかこれからどうすりゃいいんだよ」

123: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/08(木) 20:31:53.24 ID:xO5PLGxF0
相模ルーム

コンコン

シーン

八幡「……?」

八幡(寝てるのか?ならもう勝手に入って印だけ取って帰っちまうか)

八幡「入るぞー」

ガチャ

八幡「お見舞いに持ってきたポカリは……机の上に置いておくか。さてと……」

八幡(……そういやこいつ決裁印どこにしまってるんだ?)

八幡(勝手に探し回るか?いや無理無理無理。そんな度胸俺にはない)

八幡(ってことは結局こいつが起きるの待つしかないのか……)

八幡「……はあ」

相模「ん……」

八幡(お、起きたか?)

相模「……………………比企谷?」

八幡「よう、実は平塚先生に頼まれて──」

相模「比企谷!」ダキッ

八幡「!?」

124: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/08(木) 20:36:58.58 ID:xO5PLGxF0
相模「比企谷ー比企谷だーえへへへ」

八幡(なにごと!?なんで俺相模に抱きつかれてるの!?こいつどんだけ抱きつくの好きなんだよ!ムニムニしてすごい柔らかいです!ってそうじゃねえ!)

八幡「お、おい相模」

相模「比企谷ー、おはようのちゅー」

八幡「待て待て待て!起きるか寝るかはっきりしろ!」

相模「比企谷と寝るー」

八幡「何言ってんだよ!ほら起きろ!」

相模「ん……ふぁ?……え?」

八幡「……目が覚めたなら離せ」

相模「え?え?なんでウチの部屋に比企谷が?」

八幡「この体勢で先にそっち聞くか」

相模「?……!!」

八幡「ほら、離れろ」

相模「あ、あう……///」カアア

八幡(ようやく離れたか……あれ以上抱きつかれてたらちょっとやばかった。何がとは言わないが)

八幡「あれだ、さっきのことは忘れろ。ちなみに俺がここにいるのは決裁印取りに来たのと見舞いだ」

相模「う、うん……」

八幡「だからさっきのことは忘れろって」

相模「む、無理……比企谷の体温がまだ残ってる……」

八幡(そういう言い方やめてくれません?なんか顔が熱くなるんですけど)

相模「えと、け、け、決裁印なら確か……」

八幡「病人は寝てろ、場所言ってくれれば自分で取るから」

相模「あ、ありがと……その棚の二段目に入ってる。中身はあんまり見ないでね」

八幡「はいよ」

八幡(よし、あったあった)

八幡「お前体調大丈夫なのか?泣くほど辛いってどんな熱だよ」

相模「へ?……あ、これは熱じゃなくて……い、いやなんでもない!」

八幡「お、おう……」

相模「……比企谷、いつまでここにいるの?」

八幡「え、あ、悪い」

八幡(遠回しにとっとと帰れや!って言われたわ……さすがにつらい)

128: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/08(木) 20:53:21.83 ID:xO5PLGxF0
相模「い、今のは悪い意味じゃなくて!その、この部屋にあんまりいたら比企谷に移っちゃうから……」

八幡「俺のこと心配してくれてんのか?」

相模「そりゃするよ……雪ノ下さんが倒れずに済んだのに、比企谷が倒れたら意味ないし……」

八幡「俺が休んだところで影響はない気もするけどな」

相模「あるよ!比企谷がいないと……」

八幡「俺がいないと?」 

相模「その……寂しい」

八幡「…………」

八幡(え、なにこの相模。布団で顔隠しながらそんなこと言うとかめちゃくちゃ可愛いんだけど)

八幡(いや待て俺。きっと今の言葉にも裏があるはずだ。それを見抜くんだ!)

相模「学校がある日くらい比企谷には会いたいもん……」

八幡(惑わされるな俺ええええ!!!裏を!裏の意味を探すんだ!)

八幡「ま、まあ俺の話は置いておこう。それよりほらあれだ、明日来れそうか?」

相模「ううんどうだろ……ママにまどマギ借りてきてもらったから悪化することはないと思うけど……」

八幡「なんでアニメ見たら風邪が良くなると思ってんだよ。むしろ悪化しちまうから。アニメ見てないで寝てろ」

相模「円環の理がちゃんとウチのこと導いてくれるし」

八幡「それ死んでるじゃねえか」

相模「……ふふ」

八幡「なんだよ、急に笑うなよ」

相模「比企谷とこうやって普通に話せるのがなんか……夢みたいで」

八幡「はあ?そこまでのことかよ」

相模「そこまでのことだよ。ウチはもう二度と比企谷と会えないって思ってたんだもん……」

八幡「……別に会わなくていいだろ」

相模「会いたいよ。会って今みたいな変な会話してそれで……」

八幡「…………」

相模「……それでそのままお別れなんてせずにずっと一緒にいたい」

八幡「……もう寝ろ、熱で頭がおかしくなってる」

相模「……そうだね、もう寝るよ。今日はありがと。できるだけ早く治す」

八幡「礼なら平塚先生に言っとけ」

130: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/08(木) 21:30:50.51 ID:xO5PLGxF0
相模「うん」

八幡「じゃあな」

ガチャ、バタン

相模「…………」

相模「……ぐすっ」

相模「比企谷ぁ……うぅ……」

ガチャ

相模「え」

八幡「安心しろ、なにも聞いてない」

相模「そ、それ、聞いたって言ってるようなものだけど……」グスッ

八幡「……まあ気にすんな」

相模「……あの、なんで戻ってきたの?」

八幡「俺が聞きてえよ……お前の母ちゃんなんなんだよ……」

相模「ママ?」

八幡「ほれ」

相模「なにこのメモ……」

『比企谷君へ 私が帰ってくるまで娘をよろしく』

八幡「それが机の上に置いてあった」

八幡(買い物に出かけたのにどうして机にメモ残せるの?あの人なに、瞬間移動でもしたの?つうかよく『比企谷』って漢字で書けたな、八幡的にポイント高いぞ)

相模「ママ……」

八幡「無視して帰ろうとしたら背筋に寒気を感じてな。仕方ないから帰ってきた」

相模「……別に無視してもいいのに……。っていうかここにいたら本当に移っちゃうよ」

八幡「それも含めて気にすんな。比企谷菌は普通の病原菌なんかに負けないから。お前は大人しく寝てろ」

相模「う、うん……ありがと」

八幡「ん」

八幡(……さすがにあんなの聞いたあとじゃ帰れねえよ)

相模「比企谷」

八幡「なんだ」

相模「……おやすみなさい」

八幡「ああ、おやすみ」

相模「……えへへ」

八幡(ったく。そんな幸せそうな顔すんなよ……)

131: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/08(木) 21:44:11.31 ID:xO5PLGxF0
校門

雪乃「あ」

八幡「げ」

八幡(朝っぱらから雪ノ下に会っちまった……まあどうせ無視されるしいいか)

雪乃「おはよう比企谷君。ちゃんと決済印は取ってこれたかしら」

八幡(話しかけられた……だと……!?)

八幡「俺は初めてのおつかいに出たガキか。ほれ、決済印だ」

雪乃「そう……相模さんは大丈夫だったのかしら」

八幡「今日復帰は多分無理そうだったな。印を取りに行って正解だ」

雪乃「そうなの……」

八幡「なんだよ」

雪乃「いえ、あなたが女子と二人きりというシチュエーションにそこはかとない寒気を感じただけよ。まあ親御さんもいるでしょうから変なことはできないでしょうけど」

八幡「え、あ、そ、そうだな」

雪乃「……あなた、まさか」

八幡「あ、俺今日日直だったわ。じゃあな!」

雪乃「ま、待ちなさい!」

八幡「またあとで!」 

八幡(思わず逃げてしまった……いやホントに変なことはしてないから)

八幡(ただちょっと寝ぼけてまた抱きついてきたあいつを抱きしめたり頭をなでたりしただけだから)

八幡(うわ、改めて見直すと俺なにしてんだよ……)

133: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/08(木) 22:06:38.62 ID:xO5PLGxF0
教室

結衣「……ヒッキーおはよ」

八幡「おう……なんかテンション低いな」

結衣「別に。それよりヒッキー、昨日さがみんの家に行ったんでしょ?」

八幡「ああ、決済印を取りにな。……決済印を取りにな」

八幡(大事なことなので二回言いました)

結衣「…………」

八幡「な、なんだよ」

結衣「さがみんに手出したの?」

八幡「は!?」

結衣「だってさっき!ゆきのんと話してる途中で逃げたじゃん!」

八幡「見てたのか……。だから日直なんだよ。

結衣「今日の日直あたしだし!」

八幡「へえー、お前も今日日直なんだ。奇遇だな」

結衣「日直は一人じゃん!」

八幡「そんなことねえよ。ほら、黒板にも由比ヶ浜の横に比企谷って書いてあるだろ」

結衣「あたしの目の前で書き足したのに嘘が通ると思ってるの!?」 

八幡「じゃああれだ、今日だけサービスで相合い傘のマークも付け足しといてやるから」

結衣「……ハート」

八幡「ん?」

結衣「相合い傘の横にハートマークも書いてくれたら問いただすのやめてあげる」

八幡「くっ……!」

八幡(ハートマークだと……!そんなの書いたらクラスの連中から白い目で見られるだろ!)

八幡(ハートマークなんてつけたら絶対……)

『うっわ、比企谷ってやつ由比ヶ浜と自分に相合い傘のマークつけてるぜwwwハートもつけてるwww』

『ほんとだ、比企谷って誰だよwww』

『……マジで比企谷って誰だ?』

八幡(みたいな会話がクラスで交わされるに決まってる!)

八幡(……あ、俺ほとんどノーダメージじゃん)

八幡「…………」カキカキ

結衣「♪」

八幡「これでいいか?」

結衣「うん、ありがと!約束通りもうなにも聞かないであげる!」

八幡「おう」

結衣「それじゃあまたあとでねー!」

八幡「ああ、また明日な」

八幡(できれば今日はもう話したくない……疲れた)

149: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/09(金) 21:19:01.13 ID:YrNSr3910
放課後 会議室

八幡(もうすぐそこまで文化祭が迫っているというのに、会議室はそこまで慌ただしいわけではない)

八幡(それはひとえに雪ノ下と相模の手腕によるものだろう)

八幡(細かな問題は雪ノ下がそのスペックを活かしすぐさま解決し)

八幡(大きな問題は問題になる前に相模が解決する)

八幡(まあそりゃ何が起こるかを大体とはいえ把握してるんだからな)

八幡(二周目とかチーターや!と言いたい気持ちもあるが、きっとこのネタを言ったところで相模にしか伝わらないだろう。今日はいないが)

八幡(まあそんなことはさておき)

八幡(今日話し合う予定だったスローガンの話なんかも、ダウンする前に相模がすでに解決してしまったらしく、俺たち下っ端は小さなことを適当にこなすだけだった) 

八幡(そのはずなのにな……)

陽乃「もう、比企谷君たら目がこわーい。そんなんじゃ女の子にモテないぞ?」

八幡(なんで俺この人の相手する係になってるの?)

八幡(ねえこれお前の姉さんだろ?なんとかしろよ。なんとかしてくださいお願いします)

陽乃「へえ?、私の話を無視しちゃうくらい雪乃ちゃんのことが気になるんだ」

雪乃「…………」ピクッ

八幡「そういうわけじゃないですよ。ただ単にあなたと話すのが疲れるだけです」

陽乃「そんなこと言われたらお姉ちゃんもっと意地悪したくなっちゃうな?」

八幡「今仕事忙しいんであまり俺に構わないでください」

陽乃「…………」カタカタカタカタカタカタカタカタカタ!!

陽乃「はい、これで比企谷君の仕事全部終わったよ」

八幡「え!?は!?」

151: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/09(金) 22:25:10.73 ID:YrNSr3910
八幡(ほ、ホントだ……全部打ち込んである……)

八幡「あ、ありがとうございます……じゃあ陽乃さんのおかげで仕事なくなったんで俺帰りますね」

雪乃「…………」テクテク

八幡(雪ノ下がこっちに来た……?ああそうか、俺に新しい仕事を持ってきたのか。正直面倒だが、あの書類の量なら陽乃さんも一瞬で終わらせるのは無理だろう)

陽乃「帰るなんて言わずにさ」

八幡(よし!そのままこっちに来い雪ノ下!きっとこの人のことだから素直に帰してくれなさそうだし、俺を忙しくさせて話しかけづらくするんだ!)

陽乃「比企谷君の好きな女の子について話し合おうよ」

雪乃「…………」ピタッ

154: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/09(金) 23:57:46.70 ID:YrNSr3910
八幡(おかしい、雪ノ下が一時停止ボタンを押されたかのように止まっている……)

八幡「好きな女の子って……」

陽乃「雪乃ちゃん?ガハマちゃん?あ!もしかして私だったりするのかな?」

八幡(おい雪ノ下!なんでそこで止まってるんだ!早く俺に仕事を!)

雪乃「そこのあなた」

モブ子「はい?」

雪乃「これ、よろしく」

モブ子「え、ちょ、こんなに!?」

雪乃「頼んだわよ」スタスタ

八幡(雪ノ下ぁぁぁぁああ!!お前なに無関係の人間巻き込んでんだよ!)

八幡(いやこの際あのモブっぽい顔のやつはどうでもいい!)

八幡(それよりもその書類の山は俺のだろ!)

陽乃「雪乃ちゃんにそんな熱い視線を送ってどうしたのかな?やっぱり雪乃ちゃんが本命?」

八幡「こ、これは……」

陽乃「…………」ニコニコ

八幡「えーと」

陽乃「昨日は親のいない委員長ちゃんの家に行って二人きりで」

八幡(なんで知ってるんだ……)

陽乃「今日はガハマちゃんと自分の名前に相合い傘とハートマークまで付けちゃうんだもんね」

八幡(だからなんで知ってるんだよ!)

陽乃「私でも羨ましいくらいラブコメしてるんだから。私のことも混ぜてー」フー

八幡「……!!」ゾクゾク

八幡(あ、あぶねぇ……耳に息吹きかけられただけで変な声出そうになった)

陽乃「可愛いなぁ比企谷君は」

陽乃「…………食べちゃいたい」ボソッ

八幡「おおおおおお俺今日日直なんでかかか帰ります!それじゃ!」

陽乃「うわっ!?」

八幡(よし!訳の分からない言い訳しちまったが陽乃さんからは逃げられた!このまま扉に──)

雪乃「どこに行くのかしら?」

八幡「うおっ!……お前、急に前に飛び出すなよ。俺じゃなかったら今ごろ衝突事故起こしてたぞ」

雪乃「確かに危なかったわね。あなたと衝突して押し倒されてしまうなんて考えただけで鳥肌が立つわ」

八幡「……押し倒すなんて一言も言ってないんだが」

雪乃「……///」

155: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/10(土) 00:46:27.56 ID:b0vYx5HF0
八幡(なんでそこで顔赤くするんだよ……いや俺にはその理由分からないから。別に現実から目を逸らしてるわけじゃないから)

陽乃「比企谷君、雪乃ちゃんのこといじめちゃだめだよ?」

八幡「いじめてないです……」

八幡(しまった、せっかく逃げられたのに追いつかれた……いや追いつかれたどころじゃない)

八幡(前に雪ノ下、後ろに陽乃さん)

八幡(ふっ……そうか、俺の人生はここで終わるのか……)

雪乃「な、なにを悟った顔をしているのかしら」

八幡「いや別に……」

雪乃「か、勘違いしないでもらえるかしら。今のはただの言葉の綾のようなものであって、別にあなたのことが好きというわけではないのだからっ!」

八幡(ツ、ツンデレのん……!)

八幡「雪ノ下、お前少し黙っとけ。恐ろしいスピードで墓穴掘ってるぞ」

雪乃「え、あ……うぅ///」カァァァ

陽乃「雪乃ちゃん可愛い?。でも比企谷君はあげないよ」

八幡「別にあなたのものじゃないんですけど」

八幡(誰か助けてくれよこの状況……)

八幡(いや、こんな世界で誰かに助けを期待するからいけないんだ)

八幡(自分の身は自分で守らなければならない!)

八幡(そのためには……)

モブ子「はあ……」カタカタ

八幡(そうだ!前も後ろも逃げられないが……)

八幡(まだ横が空いてる!)

八幡「おい」

モブ子「え、私?」

八幡「ああ。お前一人じゃその量辛いだろ?」

モブ子「うん……」

八幡「手伝うから半分書類渡せ」

モブ子「え、で、でも」

八幡「困った時はお互い様だろ?」キリッ

モブ子「あ、ありがとう……///」

156: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/10(土) 00:48:13.94 ID:b0vYx5HF0
八幡「気にすんな」

八幡(本当に気にしないでもらっていい。なんなら感謝すらしてるレベル)

八幡「ってことで俺また仕事が出来たんで」

雪乃陽乃「…………」

八幡「急に黙らないでもらえません?
怖いんだけど」

陽乃「比企谷君って、なんだかんだいってフラグ立てまくるよね」

雪乃「その通りね。私たちの身にもなって考えてもらえるかしら」

八幡「???」

モブ子「……」チラッチラッ

雪乃陽乃(たったあれだけの会話で女の子一人落とすなんて……比企谷君、恐ろしい子っ!)

八幡「あー忙しい超忙しい。だから俺に構わないで他のことしてください」

モブ子「忙しいなら無理しなくても……」

八幡「え、あ、大丈夫だ、問題ない」

陽乃「あ?あ、残念。せっかく比企谷君を食べ……からかおうと思ってたのに」

八幡「なんか怖いこと言われてるんですけど」

雪乃「彼にはもう構えないのだからもう帰ればいいと思うのだけれど。彼の世話は私がしておくわ」

八幡「お前はお前で何言ってんの?俺は養われる気はあるがお世話される気なんてないぞ」

八幡(あと二人とも本人無視して話し合うのやめてくれません?心の傷が増えていくんだけど)

陽乃「うーん……もっといじってたいけど、今日は帰るかな。私がやることもなくなっちゃったし」

雪乃「やけに素直ね」

陽乃「私はいつも素直だよ?」

雪乃「どの口が言うのかしら」

陽乃「ふふ」

八幡(絶対飽きたから帰りたいんだろうな……まあ帰ってくれる分には問題はないな)

陽乃「じゃあまたね?雪乃ちゃん、比企谷君」

八幡「うす」

雪乃「ええ、さようなら」

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