曜「よーちゃんはね ××ちゃんっていうんだほんとはね」

ラブライブ!

アンケートへの回答ありがとうございました。

今後のまとめ記事の参考にさせて頂きます。

要望等あればいつでもご連絡ください。

1: 名無しで叶える物語(かぶらずし)@☺ 2017/02/12(日) 20:19:53.43 ID:cjHBT+pZ
曜「よーちゃんはね♪ ようちゃんっていうんだほんとはね♪」

曜「だけどちっちゃいからじぶんのことよーちゃんってよぶんだよ♪」

曜「おかしいな♪ よーちゃん♪」

梨子「曜ちゃん、おはよう。相変わらず朝早いね」

曜「おはよう! ごめんね、一緒に登校できなくて」

梨子「気にしないで。……それで、またその歌? 曜ちゃん、その歌好きだね」

曜「自分でもわからないんだけど、つい口ずさんじゃうんだよね」

梨子「ふふっ。でも、わたしもその歌好きよ。なんだかかわいくて」

曜「そう?」


3: 名無しで叶える物語(かぶらずし)@☺ 2017/02/12(日) 20:20:50.15 ID:cjHBT+pZ
梨子「そういえば宿題のことなんだけど、ひとつだけわからない問題があったの。曜ちゃん、全部解けた?」

曜「もちろん! 完璧であります!」

梨子「そうだよね。曜ちゃんだもん。教えてもらってもいいかな?」

曜「いいよ! もっておいでよ!」

梨子「うん。ありがとう」

梨子「なるほど。ここでその公式を使うのね」

曜「そうそう。少しひらめきが必要な問題だね」

梨子「わたし、そういうの弱いなぁ……」

曜「慣れてきたらぱっと分かるし、そうなると気持ちいいよ」

梨子「わたしもがんばるね。曜ちゃん、ありがとう」

曜「うん!」

5: 名無しで叶える物語(かぶらずし)@☺ 2017/02/12(日) 20:21:42.20 ID:cjHBT+pZ
梨子「はぁ……。長距離走いやだなぁ」

曜「そう? 走るのって気持ちいいじゃん」

梨子「曜ちゃんは運動できるから。わたし、長距離は苦手なの」

曜「じゃあ一緒に走ろうよ。少しペース落とすからさ」

梨子「いいよ。そんなの曜ちゃんに悪いし。それに……」

曜「それに?」

梨子「そういうのって途中で置いてけぼりにされちゃいそうだし」

曜「そ、そんなことしないよ!」

梨子「ふふっ、冗談よ。曜ちゃん優しいもん。……だけど、本当に一人でだいじょうぶだから、気にしないで」

曜「梨子ちゃんがそう言うなら……」

梨子「曜ちゃんもがんばってね」

曜「うん!」

6: 名無しで叶える物語(かぶらずし)@☺ 2017/02/12(日) 20:22:44.68 ID:cjHBT+pZ
曜「梨子ちゃん頑張ったね! 先生もほめてたよ! 前よりもタイムが縮んだって!」

梨子「ありがとう。ダンスの練習のおかげかなぁ。……そういう曜ちゃんだってクラスで一番だったじゃない」

曜「えへへ。まあ鍛えてるからね」

梨子「飛び込みって持久力っていうより瞬発力って感じだけど」

曜「もちろんそうだけど、持久力も大事だよ。それに、よーちゃん水泳もやってるからね」

梨子「ぷっ……!」

曜「え? いきなりどうしたの?」

梨子「ご、ごめんなさい。自分のことよーちゃんって言うの、まだ慣れなくって」

曜「あっ、またよーちゃんって言っちゃってた? 恥ずかしいなぁ……」

梨子「でも、とってもかわいいわよ。わたし、その呼び方も好き」

曜「いやだよぉ。なんかちっちゃい子みたいじゃん。気を付けようっと」

梨子「うふふ。……じゃあ放課後までもうひと頑張りだね」

曜「うん! 全速前進ヨーソロー!」

8: 名無しで叶える物語(かぶらずし)@☺ 2017/02/12(日) 20:23:49.27 ID:cjHBT+pZ
放課後

ダイヤ「はい! ワンツー! ワンツー! ……梨子さん! ワンテンポ遅れていますわよ! それから果南さんはワンテンポはやいですわ!」

梨子「は、はい!」

果南「はーい!」

ダイヤ「ラスト3回! ワンツー! ワンツー! ワンツー! ……はい。お疲れさまでした。今日の練習はここまでですわ」

梨子「はぁっ……はぁっ……はぁっ……」

曜「梨子ちゃんだいじょうぶ? はい、飲み物!」

梨子「はぁっ……はぁっ……ありがと……」

梨子「んくっ……んくっ……んくっ……」

果南「ダイヤも鬼教官だよね。まあ頑張らなきゃってのは分かるけどさ」

ダイヤ「果南さん? 聞こえていますわよ?」

果南「いやー! ダイヤはしっかりしてるし、かわいいし、やっぱりAqoursのリーダーは違うなぁ!」

ダイヤ「まったく……。調子がいいんですから」

9: 名無しで叶える物語(かぶらずし)@☺ 2017/02/12(日) 20:24:49.56 ID:cjHBT+pZ
梨子「それにしても、曜ちゃんも果南さんもすごいのね。あれだけ練習したのに息も切れないなんて」

曜「さっきも言ったけど、鍛えてるからね!」

果南「でも、曜ってさ、ちっちゃいころは運動からっきしだっだんだよ」

梨子「えっ!? ほんとですか!?」

曜「ちょ、ちょっと果南ちゃん!?」

果南「いいじゃん。隠すことでもないでしょ。わたしとかけっこしてもいつも負けちゃってさ、大声で泣きだしちゃうの」

曜「も、もう! 恥ずかしいから言わないで!」

梨子「へぇ、そうだったんだ。なんだか意外ね」

果南「小学2年生くらいの頃だったかな。急に飛び込みをするなんて言い出してさ、その頃からどんどん運動が得意になっていったんだよ」

梨子「曜ちゃん、すごい!」 

10: 名無しで叶える物語(かぶらずし)@☺ 2017/02/12(日) 20:25:44.20 ID:cjHBT+pZ
果南「でも、それからもわたしにかけっこで勝ったことないんだよねぇ」

曜「なっ! きょ、今日こそ勝てるよ!」

果南「おっ! 言ったね! なんなら今から勝負する?」

曜「望むところだよ!」

梨子「ちょ、ちょっと、今からはやめた方が……」

果南「だってさ。どうする? やめる?」

曜「やめない! 女に二言はないんだから!」

果南「よし! じゃああっちの端っこまで! 準備はいい?」

曜「いいよ!」

果南「3、2、1、……スタート!」

梨子「あっ」

ダイヤ「果南さん! 曜さん! 何をやっているのですか!」

13: 名無しで叶える物語(かぶらずし)@☺ 2017/02/12(日) 20:26:50.07 ID:cjHBT+pZ
帰り道

曜「はぁ……、怒られちゃったなぁ」

梨子「屋上でかけっこはさすがに怒られるわよ」

曜「しかも果南ちゃんには勝てなかったし」

梨子「でも、本当に驚いた。曜ちゃんが昔は運動苦手だったなんて」

曜「あれは果南ちゃんが大げさなんだよ。小学校の低学年なんて運動できるもできないもないでしょ? だから飛び込みを始めたのと身体の成長がちょうど重なっただけだよ」

梨子「そう言われれば……そうなのかな?」

曜「ほら、チカちゃんも言ってるよ。『ヨウチャンノイウトオリダヨ』」

梨子「相変わらず上手ね。腹話術。そのお人形も手作りなんでしょ?」

曜「そうだよ。ねっ、チカちゃん。『ウン。ドウセナラモウスコシカワイクツクッテホシカッタケド』」

梨子「くすっ。今のままでも十分可愛いわよ」

曜「『ホントウニ? アリガトウリコチャン。リコチャンダイスキ』」

梨子「ありがと、チカちゃん」

14: 名無しで叶える物語(かぶらずし)@☺ 2017/02/12(日) 20:28:16.07 ID:cjHBT+pZ
曜「もう家に着いちゃった。お喋りしてるとあっという間だね」

梨子「そうね」

曜「あとで遊びに行ってもいい?」

梨子「ええ、いいわよ」

曜「こういうときに家が隣同士だと得だよね。梨子ちゃんが引っ越してきてくれてよかったよ」

梨子「わたしも、ここに引っ越してきてよかったわ」

曜「えへへ、じゃあまたあとで!」

梨子「うん!」

…………

曜の部屋

曜「ふぅ……。結局、今日も夜遅くまで遊んじゃったよ」

曜「『リコチャンバッカリズルイ。ワタシトモアソンデ』」

曜「……なーんちゃって」

曜「じゃあ、今から行くからね」

曜「待っててね、ちかちゃん」

曜「おやすみなさい」

16: 名無しで叶える物語(かぶらずし)@☺ 2017/02/12(日) 20:29:12.37 ID:cjHBT+pZ
千歌「よーちゃん! いらっしゃい!」

曜「ちかちゃん! お邪魔します!」

千歌「だからお邪魔しますはおかしいってば! ここはよーちゃんの夢の中なんだから!」

曜「でも、ちかちゃんは本物なんでしょ?」

千歌「本物っていうか……、まあ、半分くらい?」

曜「だったらいいじゃん! ここはちかちゃんの場所だよ」

千歌「そうかなぁ……」

曜「それより聞いてよ! 今日も梨子ちゃんと遊んだんだ!」

千歌「ほう! 何をして遊んだの?」

曜「今日は人生ゲームだよ! 梨子ちゃんが強くってさぁ!」

千歌「じんせいゲーム? おもしろいの?」

曜「おもしろいよ! ちかちゃん、今から一緒にやる?」

千歌「二人でやってもおもしろいの? このまえのババぬきみたいにならない?」

曜「大丈夫だよ!」

千歌「だったらやる!」

17: 名無しで叶える物語(かぶらずし)@☺ 2017/02/12(日) 20:30:17.96 ID:cjHBT+pZ
千歌「じゃあ、作るからよーちゃん頭に思い浮かべて!」

曜「おっけー! んーと……、こんな感じ、かな?」

千歌「むむむむむ……、えいっ!」

曜「そうそう! これだよ!」

千歌「よし! やろうか! ちなみにどんなゲームなの?」

曜「人生を体験するゲームかな。この前すごろくっていうゲームやったでしょ? ルールはあれと似たような感じかな。勉強して、就職して、結婚して、出産して、っていうことを経験しながら、お金を稼いでいくゲームだよ」

千歌「…………」

曜「……あっ」

千歌「……それはちょっとやりたくないかな」

曜「……ちかちゃん、ごめんね」

千歌「ううん。ちかのわがままだから、よーちゃんが謝ることなんてないよ」

曜「……それでも、ごめん」

千歌「いいってば! こっちこそごめんね! なんか変な空気にしちゃって! さぁ、何か別のことをして遊ぼうよ!」

曜「……うん」

18: 名無しで叶える物語(かぶらずし)@☺ 2017/02/12(日) 20:31:11.85 ID:cjHBT+pZ
曜「……はぁ」

梨子「曜ちゃん、おはよう」

曜「……おはよう」

梨子「元気ないね。だいじょうぶ?」

曜「友達と、ちょっとね」

梨子「喧嘩しちゃったの?」

曜「喧嘩っていうか、わたしが一方的に落ち込んでる感じかな。ちょっと失言しちゃってさ」

梨子「ふーん。その子が気にしてないなら曜ちゃんも気にしなくていいんじゃない?」

曜「そんなことできないよ!」

梨子「えっ!? ご、ごめんなさい」

曜「あっ、……こ、こっちこそごめんね、大きな声出しちゃって」

梨子「大切なお友達なのね」

曜「……うん」

20: 名無しで叶える物語(かぶらずし)@☺ 2017/02/12(日) 20:32:24.01 ID:cjHBT+pZ
放課後

果南「梨子ちゃん、今日の動きよかったよ」

梨子「ほんとですか? ありがとうございます、果南さん」

果南「だから敬語じゃなくていいってば」

梨子「あっ、ごめんなさい。年上の人と話すのってまだ慣れなくて」

果南「まあ、梨子ちゃんが喋りやすい方でいいけど。で、曜のやつどうしたの? なんかずっと元気ないけど」

梨子「大切なお友達と喧嘩しちゃったらしいです」

果南「……あぁ、そういうこと」

梨子「曜ちゃん、お友達多そうですからね」

果南「いや、そういうことじゃないんだけどね」

梨子「え?」

果南「うーん……、まあ、曜がそこまで言ったんだったら教えてもいいかな。これからもそういうことありそうだし」

梨子「……どういうことですか?」

果南「梨子ちゃん、練習終わったあと少し時間ある?」

梨子「は、はい」

果南「だったら、そのあと少し屋上に残っててくれないかな? その時に話すから」

梨子「分かりました」

21: 名無しで叶える物語(かぶらずし)@☺ 2017/02/12(日) 20:33:14.07 ID:cjHBT+pZ
曜「ぶーぶー! なんで果南ちゃんと梨子ちゃんだけで練習するのさ! わたしだって一緒に練習したい!」

果南「だから言ったでしょ。梨子ちゃん、少しでも曜の動きに近づけるように練習したいんだって。そこにアンタがいたんじゃ差が縮まらないじゃん」

曜「まあそうだけどさぁ……」

梨子「曜ちゃん、ごめんね。帰ったら遊びに行くから」

曜「……分かったよ。絶対だからね! じゃあ、またあとで! 果南ちゃん、またあした!」

果南「うん! バイバイ!」

22: 名無しで叶える物語(かぶらずし)@☺ 2017/02/12(日) 20:34:28.01 ID:cjHBT+pZ
果南「……さてと。それで、曜のお友達の話だったね。まあ、もったいぶっておいてあれなんだけどさ、わたしも詳しくは知らないんだ。だから知っていることだけ話すね」

梨子「お願いします」

果南「梨子ちゃんさ、あの子の持ってる腹話術の人形知ってるよね?」

梨子「はい。たしかチカちゃんでしたっけ? 曜ちゃんの手作りなんですよね」

果南「うん。あれが曜の友達だよ。曜の友達の、チカちゃん」

梨子「……え?」

果南「まあ、正確に言うと逆なんだけどね。そのチカちゃんって子が夢の中に出て来るらしいんだ。それで、その子の人形を作ったみたい」

梨子「…………」

果南「曜がチカちゃんのことを話してくれたのは小学校を卒業した頃だったかな。物心ついた頃からずっと夢の中でおしゃべりしてたらしいよ」

梨子「……そのチカちゃんって子、本当にいるんですか?」

果南「いないと思う。わたし、小学校の頃からあの子と一緒でさ、だけど、そんな子のこと聞いたことないもん。こんな狭いところだし、同じ小学校の子ってほとんどが顔見知りになっちゃうんだよね」

23: 名無しで叶える物語(かぶらずし)@☺ 2017/02/12(日) 20:35:32.03 ID:cjHBT+pZ
果南「わたしも少し調べたんだけどさ、イマジナリーフレンドっていうみたい。空想の友人を作り上げちゃうこと。小さい子ならよくあるみたいだけどね」

梨子「聞いたことはあります」

果南「で、曜の場合はそれが消えずにずっと残っちゃったみたいだね。……わたしが知ってることはそれくらいかな。びっくりした?」

梨子「……はい。少し驚きました」

果南「あはは。まあそうだよね」

梨子「でも、わたしも少し身に覚えがあります。東京にいた頃、どうしてもピアノが弾けなかったとき、もう一人のわたしに相談してみることがありました。もちろん、小さい頃の話ですけど」

果南「へぇ。そうなんだ」

梨子「それに、曜ちゃんは曜ちゃんですから。わたしの一番のお友達であることに変わりはありません」

果南「……うん! やっぱり私の目に狂いはなかったよ!」

梨子「え?」

24: 名無しで叶える物語(かぶらずし)@☺ 2017/02/12(日) 20:36:34.37 ID:cjHBT+pZ
果南「梨子ちゃん、これからもあの子のことよろしくね。学年が違うと、どうしても一緒にいられないこともあるからさ」

梨子「そ、そんな! むしろ私がお世話してもらってるくらいで……」

果南「ふふっ。……それと、この話は秘密にしておいてね。心無いこと言う人もいるからさ」

梨子「分かりました。誰にも話しません」

果南「よし! じゃあ帰ろっか! のど渇いてない? 飲み物くらい奢るよ」

梨子「あっ、大丈夫です。すぐに帰りますから」

果南「梨子ちゃーん? こういうときは奢られとくもんだよ。ほら!」

梨子「えっ? わたし、曜ちゃんと約束が……」

果南「わたしに強引に連れていかれたっていえばいいよ! 梨子ちゃん、お酒は得意?」

梨子「ま、まだ未成年です!」

果南「あはは! ジョーク、ジョーク! さぁ! しゅぱーつ!」

梨子「ちょ、ちょっと!? だ、だれかたすけてぇ~!」

25: 名無しで叶える物語(かぶらずし)@☺ 2017/02/12(日) 20:37:53.79 ID:cjHBT+pZ
曜の部屋

曜「はぁ……、結局、梨子ちゃん遊びに来なかったなぁ。やっぱり、変なこと言っちゃったし、嫌われちゃったのかなぁ」

曜「ちかちゃんにどうやって謝るかも思いつかないし」

曜「『ダイジョウブダヨ。ハヤクワタシトアソボウヨ。モウキニシテナイヨ』」

曜「なーんて。……だといいんだけどなぁ」

ピピピピピ

曜「ん? あっ! 梨子ちゃんだ!」

曜「もしもし?」

梨子『曜ちゃん? ごめんなさい。今日遊びに行けなくて』

曜「……うん。だ、だいじょうぶ! 気にしてないよ!」

梨子『その、あの後ね、果南さんに連れていかれて、どうしても帰れなくって……』

曜「え? そ、そうだったの? じゃあ、よーちゃんのこと嫌いになったわけじゃないの?」

梨子「……わたしが曜ちゃんのこと嫌いになるはずないじゃない」

曜『はぁ~。ならよかったよ~』

27: 名無しで叶える物語(かぶらずし)@☺ 2017/02/12(日) 20:41:10.33 ID:cjHBT+pZ
梨子『それでね、けんかしちゃったお友達のことなんだけど……』

曜「あっ、そのことは……」

梨子『プレゼントをあげるっていうのはどうかな?』

曜「……プレゼント?」

29: 名無しで叶える物語(かぶらずし)@☺ 2017/02/12(日) 20:41:48.21 ID:cjHBT+pZ
梨子『その子が好きなものをプレゼントするの。そうしたら仲直りできるんじゃないかな?』

曜「……梨子ちゃん、それすごくいいよ!」

梨子『ほんと?』

曜「うん! ありがとう!」

梨子『ふふっ。ならよかった。……じゃあ、おやすみなさい』

曜「おやすみ! またあしたね!」

31: 1です 規制されたのでIDかわりました(庭)@☺ 2017/02/12(日) 20:46:55.54 ID:qUEYGoaI
千歌「やっほー! よーちゃんいらっしゃい!」

曜「ちかちゃん、これ!」

千歌「わっ! なにこれ!?」

曜「みかんっていう果物だよ! ちかちゃん、これ好きでしょ!」

千歌「えっ? ちかに?」

曜「うん! ……その、きのうのお詫びにと思って」

千歌「よーちゃん……」

曜「ほら、食べて食べて!」

千歌「うん! ありがとう! いただきまーす!」

曜「ちょ、ちょっと! ちかちゃんあせりすぎだよ! 皮くらいむかないと!」

千歌「あ! そうだよね! むきむきっと……はむっ」

曜「どう?」

千歌「ん!? すごい! とってもあまくておいしい!」

曜「でしょ! よかったぁ!」

32: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 20:48:15.39 ID:qUEYGoaI
曜「やっぱり、梨子ちゃんに相談して正解だったなぁ」

千歌「ん? 梨子ちゃんってよーちゃんのともだちの?」

曜「うん。実は梨子ちゃんから教えてもらったんだ。仲直りしたいならプレゼントをあげたらどうかなって」

千歌「え? っていうことは梨子ちゃんにちかのこと話したの?」

曜「ちかちゃんの名前は出してないけれど、友達と喧嘩したってことは話したよ」

千歌「そうなんだ。……珍しいね。よーちゃんがそんなこと人に話すなんて。昔、果南ちゃんに話して以来じゃない?」

曜「うん。梨子ちゃんだったらいいかなと思って。それに、具体的なことは隠したままだし」

千歌「……ふーん。まぁ、よーちゃんがいいならいいんだけど」

曜「で、今日は何して遊ぼう?」

千歌「そうだなぁ。今日は梨子ちゃんの話が聞きたいな」

曜「え? どうして?」

千歌「曜ちゃんがそんなに信用してるなら、きっといい子なんだろうなぁと思って」

曜「うん! 優しくて、かわいくて、とってもいい子だよ! じゃあ、今日は梨子ちゃんの話をするね!」

千歌「よろしく!」

曜「じゃあ、引っ越してきた時のことから話そうかな。梨子ちゃんが引っ越してきたのは今年の春でね、それで……」

33: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 20:49:41.70 ID:qUEYGoaI
曜「よーちゃんはね♪ ようちゃんっていうんだほんとはね♪」

梨子「おはよう、曜ちゃん」

曜「おはよう!」

梨子「前から気になっていたんだけど、よーちゃんとようちゃんって似てるわよね。よーちゃんって言えるなら、ようちゃんって言えるんじゃないかしら」

曜「たしかに……、そんなこと考えたこともなかったなぁ。梨子ちゃん鋭いね!」

梨子「ふふっ。……それで、仲直りできた?」

曜「ばっちり! 梨子ちゃん、本当にありがとう!」

梨子「ならよかった。やっぱり、曜ちゃんは笑っているのが一番だから」

曜「えへへ、そうかなぁ」

梨子「うん!」

35: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 20:50:46.65 ID:qUEYGoaI
放課後

曜「はい、梨子ちゃんお疲れさま!」

梨子「ありがとう。……んくっ……んくっ……ふぅ」

曜「今日こそ一緒に遊ぼうよ!」

梨子「そうね。何して遊ぶ?」

曜「昨日、果南ちゃんと一緒にどこに行ったの?」

梨子「うーん……、居酒屋? みたいなところかな」

曜「あぁ……あそこね。あそこもおいしいんだけど、女子高生が行くところじゃないよね」

梨子「う、うん。まあそうね」

曜「じゃあさ、今日は喫茶店でおしゃべりしようよ! 女子高生らしく!」

梨子「いいよ」

果南「面白そうな話してるね」

曜「わっ! 果南ちゃん!」

果南「梨子ちゃん、昨日は付き合ってくれてありがとね」

梨子「は、はい」

36: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 20:51:43.05 ID:qUEYGoaI
鞠莉「ちょっとちょっとぉ! 果南、いつのまにそんなに梨子ちゃんと仲良くなったのぉ!?」

果南「部活動では後輩との関係づくりが大切だからね」

曜「今から喫茶店でもいこうかなって話をしてたんだ」

果南「喫茶店かぁ。まあ、たまにはそれもいいかもね。一緒に行ってもいい?」

鞠莉「果南だけズルーい! わたしもいいでしょ? 梨子ちゃんとラブな関係になりたいの!」

曜「梨子ちゃん、どうする?」

梨子「わたしは別にいいよ」

鞠莉「やったぁ! ほら! ダイヤもくるー!?」

ダイヤ「申し訳ありませんが家の方で所用がありますので。お断りさせていただきますわ」

果南「一年生組も帰っちゃったみたいだね。じゃあ、四人で行こうか」

鞠莉「よーし! レッツゴー!」

37: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 20:53:03.53 ID:qUEYGoaI
喫茶店

鞠莉「それでね、果南ったらわたしをおいて先に行っちゃうんだから! 走る前は、一緒に走ろうね、なんて言ってたのに!」

果南「だから、あれはマリが遅すぎたから……」

鞠莉「果南がはやすぎるのよ!」

曜「あははは!」

鞠莉「そっちは長距離走終わったの? 曜ちゃんなんかとってもはやーいイメージだけれど」

梨子「曜ちゃんはクラスで一番でした」

鞠莉「オー! それはとってもシャイニーね!」

曜「でも、梨子ちゃんだって、タイムが縮まったって先生にほめられてたんだよ」

果南「ほんと? すごいじゃん、梨子ちゃん」

梨子「えへへ、たまたまですよ」

鞠莉「ノー! 長距離走に偶然なし! って言葉もあるくらいなんだから!」

梨子「本当ですか?」

鞠莉「イエス! わたしが作ったんだけどね!」

梨子「は、ははは……」

果南「マリ、そろそろ時間じゃない?」

鞠莉「えっ、もう!? はぁ、楽しい時間はあっという間ね! それじゃあまた明日! チャオー!」

39: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 20:54:16.58 ID:qUEYGoaI
果南「梨子ちゃん、だいじょうぶ?」

梨子「は、はい。じっくり話したのははじめてですけど、台風みたいな人ですね」

曜「台風かぁ。……言えてるかも」

果南「いい子なんだけどね。梨子ちゃんの前だからちょっと浮かれてたんだと思う」

梨子「そうなんですか?」

果南「仲良くなって梨子ちゃんの胸を揉んでやるんだって息巻いてたから」

梨子「……冗談ですよね?」

果南「ははっ! ……でさ」

梨子「えっ!? 冗談だよね!?」

果南「まあ梨子ちゃんの想像にまかせるよ。でさ、曜」

曜「ん? なに?」

果南「チカちゃんのこと、梨子ちゃんに言ったから」

梨子「!?」

40: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 20:55:27.87 ID:qUEYGoaI
曜「あっ……、あぁ、人形のこと? それならもう……」

果南「違う違う。夢の中のチカちゃんのこと」

曜「……えっ?」

梨子「ちょ、ちょっと! 果南さん!?」

果南「いいでしょ? 曜だってチカちゃんと喧嘩したこと、梨子ちゃんに話したんでしょ? だったら遅かれ早かれ話すつもりだったんじゃないの?」

曜「…………」

果南「それにさ、現に梨子ちゃんは何とも思わないってさ。今日一緒に過ごしてみて、何か違和感あった?」

曜「……ううん」

果南「でしょ? やっぱりこそこそするのって性に合わないからさ、曜にも言っておこうと思って」

曜「…………」

42: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 20:59:26.88 ID:qUEYGoaI
梨子「あ、あのね、わたし、」

曜「……梨子ちゃん、わたしのこと、おかしいって思う?」

梨子「っ!」

曜「自分でも、分からなくなることがあるんだ。たしかに、わたしの中にちかちゃんはいる。わたしはちかちゃんと一緒に育ってきた。だけど、100パーセント絶対にかって聞かれたら、胸を張って答えられない。そんなのおかしいって思うわたしも……」

梨子「そんなことない!」

曜「!?」

梨子「曜ちゃんがいるっていうなら、絶対にいる! わたしは曜ちゃんを信じてる!」

曜「……梨子ちゃん」

梨子「それに、昨日も言ったでしょ! わたしが曜ちゃんを嫌いになるなんてこと、絶対にない! わたしは曜ちゃんが大好きだから!」

果南「ちょ、ちょっと!///」

梨子「え?」

店員「あ、あの、お客様?」

曜「……///」

梨子「あっ……/// ち、ちがっ……/// これは、そのっ……///」

梨子「ご、ごめんなさい……///」

43: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 21:00:47.99 ID:qUEYGoaI
帰り道

果南「もう、あの店行けないね」

曜「そうだね」

梨子「本当にごめんなさい……/// わたし、どうかしてて……///」

果南「まあ、梨子ちゃんの気持ちは伝わったよね。よかったじゃん、曜」

曜「う、うん……///」

梨子「曜ちゃん! ちがうの! あれは言葉のあやというか……」

曜「……え?」

梨子「い、いや、だからといって嘘でもないというか、なんというか……///」

果南「……さてと、あとは若い二人に任せましょうかね」

曜「か、果南ちゃん!?」

果南「へへへ。じゃあね、二人とも、お幸せに~!」

曜「あっ、行っちゃった」

曜・梨子「…………」

曜「じ、じゃあ帰ろっか……///」

梨子「そ、そうね……///」

44: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 21:01:18.50 ID:qUEYGoaI
梨子「それじゃあね、曜ちゃん」

曜「うん。……あの、ありがとう。梨子ちゃんに話すことができてすっきりしたよ」

梨子「ううん。また、なにかあったら言ってね。わたしでよかったら相談に乗るから」

曜「うん! またあした!」

45: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 21:02:40.52 ID:qUEYGoaI
千歌「よーちゃん! いらっしゃ……」

曜「ちかちゃん! 聞いてよ!」

千歌「わわっ、どうしたの?」

曜「わたし、梨子ちゃんに全部言っちゃった!」

千歌「あっ、そうなんだ」

曜「……あれ? 驚かないの?」

千歌「まあ昨日の様子だとそんな気がしたからね。で、どうだった?」

曜「そ、それは……///」

千歌「え? なんで赤くなるの?」

曜「その、よーちゃんを信じてくれるって。嫌いになんかならないって。……だ、大好きだって///」

千歌「……ほほーう」

曜「な、なに!? ほほーうって!」

千歌「いや、よーちゃんにも春が来たんだなぁと思って」

曜「べ、べつにそういうわけじゃ……///」

千歌「どう? これを機に前を向いてみるっていうのは」

曜「……え?」

46: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 21:04:35.92 ID:qUEYGoaI
千歌「ほら、よーちゃんだって分かってるでしょ? ちかとお別れしろとまでは言わないからさ、とりあえず名前だけでも戻してみるっていうのはどうかな?」

曜「ちかちゃん、何を言ってるの?」

千歌「……よーちゃん聞いて。このままじゃだめなんだよ。よく分かんないわたしなんかよりもさ、梨子ちゃんの方がきっとよーちゃんを幸せにしてくれるよ」

曜「ごめん、何を言ってるのか分かんないよ」

千歌「だからさ! ちかちゃん! わたしなんかにとらわれないで……」

曜「わたしはよーちゃんだよ! ちかちゃんはちかちゃんでしょ!?」

千歌「ちかちゃん……」

曜「何を、言ってるの……?」

千歌「……ごめんね。なんでもないよ」

曜「うん。……それで、今日は何をして遊ぼうかな?」

千歌「……よーちゃんの好きなものでいいよ」

曜「分かった! じゃあね……」

千歌「…………」

47: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 21:05:46.13 ID:qUEYGoaI
梨子「曜ちゃん、おはよう!」

曜「……おはよう」

梨子「あれ、どうしたの? また喧嘩?」

曜「ううん。違うよ。……ねぇ、梨子ちゃん、この人形の名前覚えてる?」

梨子「うん。チカちゃんでしょ?」

曜「じゃあわたしは?」

梨子「曜ちゃん?」

曜「だよね」

梨子「どうしちゃったの? 本当に大丈夫?」

曜「うん! ごめんね、変なこと聞いて! 昨日の宿題は?」

梨子「全部解けたよ」

曜「そう? ならよかったよ!」

梨子「うん」

梨子「……?」

48: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 21:07:11.43 ID:qUEYGoaI
放課後

梨子「今日は飛び込みだったよね」

曜「うん。みんなによろしくって言っておいて」

梨子「分かったよ。じゃあね。頑張って」

曜「了解であります!」

梨子「……さて、ここ数日遊んでばっかりだったし、帰ったら勉強でもしようかな」

49: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 21:07:41.36 ID:qUEYGoaI
梨子の部屋

梨子「ふぅ、こんなものかな」

梨子「曜ちゃんから連絡来なかったな」

梨子「きっと疲れてるんだよね」

梨子「一応、お疲れさまって送っておこうっと」ピッピッ

梨子「ふぁーぁ……、ちょっと早いけど寝ようかな」

梨子「おやすみなさい」

50: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 21:08:48.96 ID:qUEYGoaI
コンコンコン

梨子「んん……」

コンコンコン

梨子「んぅっ……?」

コンコンコン

梨子「こんなじかんになによぉ……」

ゴンゴンゴン!

梨子「ひっ……! な、なに? 窓の方から……」

??? ゴンゴンゴン

梨子「べ、ベランダにだれかいる!?」

梨子「あれ、でもあのシルエットは……」

51: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 21:09:51.05 ID:qUEYGoaI
曜「ごめんね、こんな夜中に」

梨子「もうっ! びっくりしたんだから!」

曜「どうしても梨子ちゃんに聞いてほしいことがあったんだ」

梨子「そうなの? チカちゃんのこと?」

曜「うん。実はわたし、チカちゃんの他にも3人のお友達がいるんだ」

梨子「……はい?」

曜「それでね、一人目はデカちゃんっていうすっごく大きな巨人でね、二人目は……」

梨子「ちょ、ちょっと待って! 曜ちゃん、何の冗談?」

曜「え? う、うそじゃないよ。二人目はチビちゃんっていう小人が……」

梨子「……曜ちゃん?」

曜「あう……その……」

梨子「あれ? ……あなた、本当に曜ちゃん?」

曜「え!?」

52: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 21:11:06.49 ID:qUEYGoaI
梨子「い、いえ、ごめんなさい。変なこと言って。自分でも何を言ってるんだか……」

曜「いや、いいよ。というか、当たりだし」

梨子「……え?」

曜「でも、まさか見抜かれるとは思ってなかったなぁ。少し梨子ちゃんのことを試してみようかなって思っただけなのに」

梨子「……曜ちゃん?」

曜「はじめまして。わたし、曜といいます」

梨子「……知ってるけど?」

曜「あっ、そうだったね。じゃあこう言えばいいのかな」

曜「はじめまして。わたし、ちかといいます」

梨子「……あなた、何を言っているの?」

曜「まあびっくりするのも無理ないよね。わたしも外の世界に出てきたの、はじめてだからさ」

梨子「…………」

53: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 21:12:39.69 ID:qUEYGoaI
曜「順番に説明するね。まず、あなたの知っているよーちゃんから、ちかのことは聞いたんだよね? 夢の中に出て来るって」

梨子「ええ」

曜「わたしはその子。今はよーちゃんの身体を使わせてもらってるんだ」

梨子「……?」

曜「つまり、身体はよーちゃんだけど、精神はわたし、ちかのものっていえば分かるかな?」

梨子「二重人格ってこと?」

曜「ん? ごめんね、その言葉は聞いたことないや。わたし、夢の中でよーちゃんに教えてもらったことしか知らないんだ」

梨子「…………」

54: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 21:14:07.56 ID:qUEYGoaI
曜「それでね、わたしが出てきた理由なんだけど、それは梨子ちゃんに一つ頼みごとをしたかったからなんだ」

梨子「……わたしに?」

曜「どうかよーちゃんに、あの子に、前を向いて進むよう言ってあげてほしい。そして、できることならあの子を支えてあげてほしい」

梨子「……支える?」

曜「うん。あの子と結婚してほしい。それで、じんせいっていうのかな? その最後まで一緒にいてあげてほしい」

梨子「えっ!?/// な、なにを言ってるの!?///」

曜「あれ、何かおかしかったかな? あの子に大好きって言ったって聞いたけど」

梨子「そ、それは……///」

曜「とにかく、それが無理なら前を向いて進むようにとだけでも言ってあげてほしいの

梨子「……ごめんなさい。分からないことが多すぎるから何とも言えないの。わたしから質問してもいい?」

曜「いいよ。答えられることならなんだって答えるよ」

55: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 21:17:31.68 ID:qUEYGoaI
梨子「あなた、ちかちゃんはいったい何者なの?」

曜「わたしはあの子と一緒に産まれるはずだった双子の一人。つまり、あの子のお姉ちゃんかな」

梨子「……お姉ちゃん?」

曜「ほんとはわたしとあの子は双子で産まれてくるはずだったの。だけど、わたしは産まれる直前に死んじゃった。そして、あの子の中で一緒に成長してきた」

梨子「……どういうこと?」

曜「分かんない。どうしてこんなことになったんだろうね。わたしも知りたいよ。……あっ、あとひとつだけ。本当はわたしが曜であの子が千歌。つまり、あの子は自分自身が曜であると思い込んでいるんだ」

梨子「……え?」

曜「小学校に上がる少し前のことだったかな。あの子、急にわたしの真似をし始めたんだ。それまではあの子が千歌で、わたしが曜だった。だけど、それからはわたしがちかで、あの子はようになった」

梨子「曜ちゃんの本当の名前は、ちかってこと……?」

曜「生まれた時の名前という意味なら、そうだよ」

梨子「そんな……」

56: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 21:20:22.57 ID:qUEYGoaI
曜「他に質問は?」

梨子「……ごめんなさい。頭が追い付かないの」

曜「そう? じゃあ今日はこのくらいにしておこうかな」

曜「もう一回念を押しておくと、あの子が前を向いて歩いていけるように手助けをしてほしい。もう死んじゃったわたしのことばかり気にかけている今の状況は、やっぱり普通じゃないからね」

曜「そして、できることならその後もあの子の支えになってあげてほしい。これが、わたしのお願い」

梨子「そんなの、わたしにはとても……」

曜「これはお願いだから。別に梨子ちゃんが嫌だというならそれでもいいんだよ。でも、わたしはそれがあの子にとって一番幸せなことだと信じてる」

梨子「…………」

57: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 21:21:37.59 ID:qUEYGoaI
曜「さて、そろそろ帰ることにするよ。わたしがここにいるってことは、あの子は今も一人で夢をみているだろうからね。もし、明日、不安そうにしていたら、梨子ちゃんが元気づけてあげてね」

梨子「……うん」

曜「それじゃあ、今度はいつ会えるか分からないけれど……、あ、最後に一つだけ」

梨子「……?」

曜「今までわたしは一度も外の世界に出たことがないって言ったよね。それはあの子のわたしに対する執着が強すぎたから。今はそれが少し弱まっているから外に出てこられたの。どうしてだと思う?」

梨子「……分からない」

曜「梨子ちゃんを想う気持ちが強くなっているからだよ」

梨子「えっ?」

曜「案外、両思いなんじゃないかな。……それじゃあバイバイ」

58: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 21:22:34.87 ID:qUEYGoaI
梨子母「いつまで寝てるの! 起きなさい!」

梨子「……はぁい!」

梨子「結局、ぜんぜん眠れなかったなぁ……」

梨子「昨日のことって、現実、だよね」

梨子「曜ちゃんが、曜ちゃんじゃなくて、本当の名前はちかちゃん」

梨子「はぁ、わけわかんないよ……」

『案外、両想いなんじゃないかな』

梨子「……///」

梨子「違う違う! そんなことじゃなくて!」

梨子「…………」

梨子「……よし、決めた」

59: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 21:23:45.54 ID:qUEYGoaI
梨子「おはよう、曜ちゃん」

曜「おはよう!」

梨子「昨日は喧嘩しなかった?」

曜「え? チカちゃんのこと? しなかったよ。なんで?」

梨子「ううん、仲良しならいいの」

曜「そう? 変な梨子ちゃん」

梨子「そういえば、明日って部活動ないんだったよね」

曜「そうだよ。ダイヤさん、というか黒澤家が用事って言ってたよね」

梨子「飛び込みは?」

曜「別に行くつもりはないけど」

梨子「それなら、わたしと一緒にお出かけとかどうかな?」

曜「えっ? それって、その……///」

梨子「ち、違うの!/// 最近お家でばかり遊んでたから、たまには外で遊ぼうかなと思って」

曜「あ、ああ! そうだよね! いいよ! 梨子ちゃんの好きなところに行こうよ!」

梨子「うん! じゃあ、考えとくね!」

61: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 21:24:50.27 ID:qUEYGoaI
放課後

果南「梨子ちゃん、聞いたよ。明日、曜をデートに誘ったんだって?」

梨子「なっ/// ち、違います!/// 遊びに誘っただけです!」

果南「照れなくてもいいじゃん。わたしは応援してるよ」

梨子「も、もうっ! だからそんなんじゃ……」

果南「はい、それで、これあげる」

梨子「……なんですかこれ? 地図?」

果南「うん! わたしが発見した絶景スポットだよ! 梨子ちゃんにも見てもらいたくてさ!」

梨子「絶景スポット?」

果南「特に夕日が差し込む時がきれいなんだ。曜と遊んだ帰りにでも見てみるといいよ」

梨子「分かりました。ありがとうございます」

果南「いいって、いいって。その代わり、帰ってきたら詳しく聞かせてね」

梨子「は、はい」

63: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 21:26:07.18 ID:qUEYGoaI
梨子の部屋

梨子「勢いで誘っちゃったなぁ……」

梨子「で、でも、休日に友達同士で出かけるなんてよくあることだよね!」

梨子「…………」

梨子「曜ちゃんと二人きりでデート……///」

梨子「……っっっ~~///」ゴロゴロ

梨子(あれから少し考えたけれど、結局、気にしないことにした)

梨子(何を言われようと、曜ちゃんは曜ちゃんだ)

梨子(頼まれたことだって簡単にいえば曜ちゃんと仲良くしてってことだと思った)

梨子(つまり、今までと何も変わらない)

梨子(…………)

64: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 21:27:17.25 ID:qUEYGoaI
梨子(本当に?)

梨子(わたし、ほんとの曜ちゃんのこと何も知らないのに?)

梨子(そんなわたしが、曜ちゃんのことを好きになる資格があるの?)

梨子「…………」

梨子「……そろそろ寝なくちゃ」

梨子「おやすみなさい」

65: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 21:28:23.38 ID:qUEYGoaI
曜「ち、ちかちゃん! 梨子ちゃんからデートに誘われちゃった!」

千歌「ほんと!? よかったね! よーちゃん!」

曜「ど、どうしよう、わたし、デートなんてしたことないよ!」

千歌「そんな緊張しなくてもさ、普通にしてればいいんじゃないかな」

曜「そ、そう?」

千歌「うん! 梨子ちゃんだって、いつものよーちゃんが好きなんだと思うよ」

曜「す、好きだなんて……///」

千歌「……本当によかったね、よーちゃん」

曜「うん! 次に来たときにデートのこと、いっぱい話すから、楽しみにしててね!」

千歌「もちろん!」

66: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 21:29:18.14 ID:qUEYGoaI
梨子「……早く来すぎちゃったかな」

曜「梨子ちゃん! ごめんね、待たせちゃった?」

梨子「ううん。私も今来たところ」

曜・梨子「…………」

曜「その、り、梨子ちゃんの私服、か、かわいいね///」

梨子「あ、ありがとう/// 曜ちゃんの服も、その、とっても似合ってる///」

曜「そ、そう?///」

曜・梨子「……///」

梨子「じ、じゃあ、行きましょうか」

曜「そ、そうだね!」

67: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 21:30:06.96 ID:qUEYGoaI
曜「わあっ……おもしろい顔だね!」

梨子「ダイオウグソクムシって言うんだって。……ちょっとこわいかも」

曜「そう? わたしはかわいいと思うけどなぁ」

梨子「あっ! わたし、この子がかわいいと思う!」

曜「どれどれ? ……え?」

梨子「メンダコだって。すごくやわらかそう!」

曜「かわいい……かなぁ……」

梨子「えー! かわいいよぉ!」

曜「あっ! あの子、かわいい!」

梨子「ちょっと曜ちゃん!? 置いてかないでよぉ!」

68: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 21:31:02.74 ID:qUEYGoaI
梨子「ん! このお刺身すごくおいしい!」

曜「でしょ! このお店、穴場なんだ!」

梨子「よく考えてみたら、曜ちゃんの方がこの辺詳しいんだよね」

曜「でも、こんなに楽しいのは梨子ちゃんと一緒だからだよ!」

梨子「そ、そう? わたしも、曜ちゃんと一緒だと、とても楽しいよ」

曜「えへへ、そう言ってもらえると嬉しいな」

梨子「じゃあ、ご飯食べたら次の場所に行こう! まだまだ見たいところがたくさんあるの!」

曜「うん!」

69: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 21:32:06.16 ID:qUEYGoaI
梨子「なんだか、いつもの階段を歩いて登るのって新鮮だね」

曜「いつもは練習に必死でまわりの景色なんか見えないよね」

梨子「……わたし、こういう緑に囲まれたところってちょっと新鮮だな」

曜「東京にはないの?」

梨子「うーん、ないこともないんだけど、作られた感じと言うか、自然って感じはしないかなぁ」

曜「ふーん。わたしにしてみたらビルに囲まれたところの方がよっぽど新鮮だけどね」

梨子「ビルに囲まれててもつまらないじゃない? こんなにさわやかな気持ちにはなれないよ」

曜「えー? わたしはわくわくするけどなぁ」

梨子「ふふっ、そういうものなのかな。……じゃあ、せっかくだしお参りして行こうか」

曜「そうだね!」

70: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 21:33:18.14 ID:qUEYGoaI
曜「梨子ちゃんはなんてお願いしたの?」

梨子「あら、こういうのは人に話したら叶わないっていうじゃない?」

曜「そう? わたしのお願いはむしろ話した方が叶うような気がするけどなぁ」

梨子「そうなの? じゃあ教えて」

曜「梨子ちゃんと、これからも仲良くできますように」

梨子「……曜ちゃん」

曜「えへへ。なんだか照れるなぁ」

梨子「…………」

曜「梨子ちゃん?」

梨子「……ううん。わたしも嬉しいよ」

曜「……? じゃあ、そろそろ降りよっか」

梨子「……うん」

71: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 21:34:54.08 ID:qUEYGoaI
曜「そろそろ陽も沈みそうだね。見て回れるところもあと一つくらいかなぁ」

梨子「うーん、考えてたところはだいたい行っちゃったし……あっ、そうだ!」

曜「どうしたの?」

梨子「そういえば果南さんに教えてもらった場所があるんだった。絶景スポットだって言ってたよ」

曜「へぇ、どこだろう」

梨子「地図を見ると、海岸沿いの岩場みたい。ちょうど夕方だし、最後にそこに行ってみましょうか」

曜「うん!」

72: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 21:35:26.23 ID:qUEYGoaI
曜「なんかすごいところに来ちゃったね」

梨子「果南さん、こんなところにいつも来てるのかな」

曜「目的地は近いの?」

梨子「えーっと、あの洞窟みたい」

曜「じゃあもう少しだね」

73: 名無しで叶える物語(庭)@☺ 2017/02/12(日) 21:37:13.55 ID:qUEYGoaI
梨子「ふぅ……ふぅ……、どう、曜ちゃん、なにかあった?」

曜「…………」

梨子「曜ちゃん? どうし……」

梨子「これ……」

曜「……すごい。洞窟の屋根が星空みたい」

梨子「……きれい」

曜「細かい穴から光が漏れ出してるんだね」

梨子「……果南さん、すごいところ知ってるね」

曜「うん。さすがだよ、……あれ? 梨子ちゃん、その地図見せて」

梨子「うん、いいよ」

曜「これ、光に透かすとなにか書いてあるよ」

梨子「本当? なんて書いてあるの?」

曜「えーっとね、ぼうしのしたをみろ、だって」

梨子「帽子? あっ! あそこに落ちてる」

曜「ほんとだ。何があるんだろうね」

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