由比ヶ浜「キス……しても、いい?」 八幡「なっ!?」

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

アンケートへの回答ありがとうございました。

今後のまとめ記事の参考にさせて頂きます。

要望等あればいつでもご連絡ください。

1: ◆SnKC1m7x8. 2014/08/07(木) 14:47:13.78 ID:6adSiqST0
( ・∀・)ノ やっはろー!

つれづれなるままに、八結のイチャイチャ系SSを書いていこうと思います。

◆基本的に台本形式。

◆多分プロローグとエピローグだけ地の文あり。

◆大体短編集っぽい感じ。

書き溜めてある話もあれば、内容だけ決まっていてまだ書いていない話もあるので、
投下スピードは速かったり遅かったりすると思いますが御容赦下さい。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1407390423


2: ◆SnKC1m7x8. 2014/08/07(木) 14:49:28.92 ID:6adSiqST0
   【プロローグ】

心理学における、単純接触効果というものを御存知であろうか。
単純接触効果とは、繰り返し接することで好意度や印象が高まる効果のことである。
分かりやすく言うと、何度も同じ曲を繰り返し聞いているといつの間にか好きになっていたり、ギャルゲーで特定のヒロインとの会話を重ねることにより好感度が上がったりするアレだ。

これは、現実の人間関係においても同じことが言える。
同じ部活に所属し、毎日放課後を共に過ごしている相手に惹かれる……。
これはある意味、自然なことなのだろう。

総武高校の卒業式を迎える頃には、由比ヶ浜の想いにとっくに気がついていた。
もう、「どうせまた勘違いだ」などと言って逃げることが許されないくらいには、己に向けられた好意を確信していた。

だが、それはほんの一時の幻想だ。

奉仕部という、たった数人だけの空間を2年間共にしたからこそ生まれた、ただの思い込みに過ぎないのだ。

そんな不確かなものが、それぞれ違う学校に通うようになってまで、ずっと続くなんてことはありえない。

3: ◆SnKC1m7x8. 2014/08/07(木) 14:50:50.47 ID:6adSiqST0
きっと由比ヶ浜は、大学で沢山の友達を作って、忙しいながらも充実した日々を送るのだろう。
そして俺は、慣れない大学生活に四苦八苦しながら、せめて休日くらいは精一杯引きこもるのだろう。
そこに互いが介在する余地はない。
だから、別々の大学になったことを機に一度距離を置き、一時の幻想は断ち切ってしまえばいい。

失われることがわかりきっているものを延命させることになんの意味があるのか。

いつか失くしてしまったものを時折そっと振り返り、

まるで宝物みたいに懐かしみ慈しみ、

ひとりそっと盃を傾けるような幸福も、きっとある。

だから、俺と彼女の青春ラブコメは、これでまちがっていない…………

4: ◆SnKC1m7x8. 2014/08/07(木) 14:51:54.05 ID:6adSiqST0

…………そう、思ってたはずなんだけどなぁ。

結衣「ヒッキーお待たせ~!」ギュッ!

八幡「ちょっ!? おまえ街中でそういうことすんのはやめろよ!!」アセアセ

結衣「えー? 別に腕に抱きつくくらい良くない? だって……」

結衣「あたし達、付き合ってるんだし……さ?」///

八幡「っ! そ、そうだな」///

おい!
いつものポーカーフェイスな俺はどこへ行ってしまったんだ!!

結衣「あはは。ヒッキー顔真っ赤ぁ~」

八幡「うっ……」

結衣「さっ! それじゃあ気を取り直して、出発進行ー!!」

腕を絡ませたまま、俺を引っ張り歩き出す。
あの、いくらなんでもギュッとしすぎじゃないですか?
腕になんかふにっとしたもの当ってるから!

ええい、柔らかい可愛い良い匂い恥ずかしいっ!!

5: ◆SnKC1m7x8. 2014/08/07(木) 14:53:44.20 ID:6adSiqST0
由比ヶ浜とは疎遠になるとばかり思っていたのに、どうしてこうなった。
ぶつくさと文句を言いつつも、由比ヶ浜に振り回される生活を楽しく思ってしまっているあたり、俺も随分と角が取れたものだ。

小町や平塚先生あたりは「捻くれ具合がマシになった」だの「ついに更生した」だの喜びそうなものだが、俺から言わせてみればこれは断じて更生などではない。
個性の没落である。
頑張れ! 俺のアイデンティティー!!

しかし、今更頑張って理性を総動員したところで仕方がないか。

───まぁ、どうしようもない奴待っても仕方ないわな

─────違うよ。待たないで、……こっちから行くの

やっぱり由比ヶ浜には勝てなかったよ……。

6: ◆SnKC1m7x8. 2014/08/07(木) 14:56:14.69 ID:6adSiqST0
   ◇ ◆ 設 定 ◆ ◇

・原作で高2の人達は、現在大学1年生。

・奉仕部は皆大学バラバラだけど、比企谷八幡と由比ヶ浜結衣は付き合っている。
 (八幡&結衣は実家暮らしのままで、雪乃は都心で一人暮らし)

・このSSにおいて高3の一色いろはと高2の比企谷小町は、生徒会メンバーで仲良し。
 (八結スレという体ですが、小町と一色の出番も多めになると思います)

『ゆきのんとの関係はどうなったの?』とか、
『そもそも高3の時どんなことがあったの?』
といった過去篇は、要所要所で明かしていこうと思います。

それでは、本編スタート!

7: ◆SnKC1m7x8. 2014/08/07(木) 14:57:44.11 ID:6adSiqST0
   【①おかえり】

八幡「あぁ~、大学疲れた~……」

八幡(6月下旬、大学に通うのにもそろそろ慣れてきた頃合いだ。そうなってくると最初は新鮮だったキャンパスライフも、段々面倒に感じてくるものである)
八幡(ぼっちだから代筆なんて頼める人が居るわけないし、当然ノートの貸し借りをする相手も居ない)

八幡(つまり、面倒な授業であってもサボることができないのだ……)

  ガチャッ!
八幡「ただいま」

小町「おかえりー」

結衣「おかえり~」

8: ◆SnKC1m7x8. 2014/08/07(木) 14:58:29.79 ID:6adSiqST0
八幡「……おい、なんで由比ヶ浜がうちに居んの?」

結衣「あ~。今日ね、うちの大学四限の授業が休校になって暇だったから、急に遊びに来ちゃった」テヘッ

八幡「テヘッじゃねぇよ」

小町「ちょっとごみぃちゃん! せっかく可愛い彼女が玄関で出迎えてくれてるのに、その態度はないんじゃない?」

結衣「……ヒッキー嬉しくないの?」

八幡「う、嬉しいです……」///

結衣「えへへー」

小町(わぁ~お。お二人さん、すっかりバカップルですなぁ)ニヤニヤ

9: ◆SnKC1m7x8. 2014/08/07(木) 14:59:54.42 ID:6adSiqST0
   【②見ちゃダメ!】

小町「さて! お兄ちゃん帰って来たことだし、小町はどこかにお出掛けでもしよっかな~」

八幡「変な気ぃ使わんでいい。勝手に俺の部屋に入ってこなければ問題ないから」

小町「はーい」

小町(なるほどね。それで最近部屋の掃除してたんだ)

八幡「由比ヶ浜、飲み物とテキトーな菓子でも出すから、俺の部屋で待っててくれ」

結衣「あ、うん。前に来た時は部屋に上がられるの嫌がってたけど、今は大丈夫なの?」

八幡「あぁ。その、なに、交際相手をリビングまでしか通さないままってのもなんかアレだし……」

結衣「そっか。……なんか嬉しいな」

八幡「ん……。あ、ただし変なとこ漁ったりすんなよ!」

結衣「そんなことしないって」

10: ◆SnKC1m7x8. 2014/08/07(木) 15:01:46.31 ID:6adSiqST0
結衣「……ってか、やっぱり見られたたら困る物とかあるんだ」

八幡「んなことわざわざ聞くなよ。あるに決まってんだろ」

結衣「まぁヒッキーも男の子だから仕方ないよね。あんま良い気はしないけど、黙認したげる」

八幡「ちげぇから! いや違くないけど、そういう物ばっかってわけじゃないから!」

結衣「ほんとー? 怪しいなぁ」ムムム

八幡「なんだ、お前の中では見られたくない物=全てエロイ物なのかよ」
八幡「どんだけ脳内思春期なの? 流石なんちゃってビッ……こほん」

結衣「あっ! 今超失礼なこと言いかけたでしょ!! 彼女に向ってそんなこと言うとかマジありえないんだけど! ヒッキーマジキモい!!」

八幡「だから途中で言うのやめただろ! ってかそっちこそ俺に失礼なこと言いまくってるけどそれはいいのかよ」
八幡「そもそも俺の中で、ビッチとなんちゃってビッチは微妙に定義が違───」

小町「ちょっとお二人さーん。小町に家にいても良いと言った以上、ここでずっと痴話喧嘩続けるのはやめていただけませんかねー」ジトー…

結衣「小町ちゃんっ!? ち、痴話喧嘩とか、そんなんじゃ、ない…し……」///

八幡「……いいからとっとと部屋行ってろ」

結衣「う、うん……」

11: ◆SnKC1m7x8. 2014/08/07(木) 15:02:58.00 ID:6adSiqST0

・・

・・・

・・・・

・・・・・

   ~八幡の部屋~

結衣「あぁ~、恥ずかしかったぁ~~~」ボフンッ!

結衣(ッ!? 勢いでダイブしちゃったけど、ここヒッキーのベッドじゃん)アワワワワー

結衣(……なんか、心地良いかも)

結衣(毛布も、枕も、全部ヒッキーがいつも使ってる物なんだよね……)

結衣「…………」ギュッ!

結衣「…………」スリスリ

結衣「…………」クンカクンカ

八幡「………何してんだよオイ」

12: ◆SnKC1m7x8. 2014/08/07(木) 15:03:39.22 ID:6adSiqST0
結衣「っ!??? わぁぁぁぁあああああ!!!!!!!」
結衣「見るなぁ!!」ブンッ!

八幡「いたっ」ボフッ!
八幡(……くないな。投げられたの枕だし)

八幡「やめろやめろ。ジュース持ってきたのに零したらどうすんだ」

結衣「あ、ごめん……」

八幡「…………」

結衣「…………」カァァァアアア…

八幡(何これ超気まずい……)

八幡「あー、えぇっと、俺何も見てないから……」

結衣「……そういうことでお願いします」シュン…

13: ◆SnKC1m7x8. 2014/08/07(木) 15:05:20.63 ID:6adSiqST0
   【過去篇其ノ一:本日はお日柄もよく、つまるところ練習日和である。】

   ~高校三年時、4月初旬~

一色「えー……、新入生の皆さん御入学おめでとうございます。長い冬も過ぎ去り暖かな春の日差しが心地よく感じられる季節となりまるで皆様の入学を待ちわびていたかのように桜の蕾が一斉に咲き乱れ───」

八幡「ストップ」

一色「ちょっと、何なんですか! せっかくつっかえずにちゃんと読めてたのにー」プンプン!

八幡「あれのどの辺がちゃんとなんだよ……。もっとゆっくり聞こえやすいように話せ」

一色「いやぁ~、こういう堅い文章読むの、未だに慣れないんですよねー……」

八幡「あと、桜の蕾が咲き乱れって何?」

一色「え?」キョトン…

八幡「この前の春一番で、学校の桜半分くらい散ってるじゃねえか。恐らく入学式当日にはもっと散ってるぞ。どっかから言葉パクってきたのがバレバレすぎる」

一色「そんなこと言われても仕方ないじゃないですかー。わたしがこういうの、自分で考えられるように見えます?」

八幡「あのな、一から十まで自分で考える必要はないんだよ」

一色「でも今せんぱいがー」ブツブツ

八幡「理研だってコピペやりまくってるこんな世の中だ、高校生がやって悪いわけがない。テンプレの言葉を、丸パクリだと思われない程度に改変しておけばそれでいい」

一色「……理屈は理解できませんが、やるべきことは分かりました」

14: ◆SnKC1m7x8. 2014/08/07(木) 15:06:21.58 ID:6adSiqST0
八幡「ほら、俺も一緒に考えてやるから、とっとと考えなおすぞ」

一色「は~い」チッ…

八幡(え? 手伝ってやってるのになんで舌打ちされなきゃならないの? 俺一人に全てやらせるつもりだったのだろうか……)

八幡「まっ、こんなもんだろ」

一色「ふぅ~……やっと終わったー……」ノビー

八幡「いや、まだ全然終わってないから。言葉考えるより、おまえの読む練習の方がよっぽど時間かかりそうだ」

一色「もうめんどくさいですー」ムスー

八幡「やれやれ、面倒なのは俺の方だ」

一色「そんなこと言って、先輩は毎回助けてくれますよねー。もしかしてわたしのこと好きなんですか?」

八幡「んなわけないだろ」

一色「それは残念です。わたしは先輩のこと、結構好きですよ?」

八幡「あんまり気安く好きとか言うな」
八幡(勘違いしちゃったらどうするんだよ……)

一色「ごめんなさい、もう気安く言いません」

八幡(お? やけに素直だな)

一色「気安くとかそんなんじゃなくてですね、真剣に───」

15: ◆SnKC1m7x8. 2014/08/07(木) 15:06:55.23 ID:6adSiqST0

一色「先輩のこと、心の底から愛しています」

16: ◆SnKC1m7x8. 2014/08/07(木) 15:08:16.53 ID:6adSiqST0
八幡「    」

一色「…………」ジー

八幡(……は? こいつ葉山のこと諦めてないんじゃなかったの?)
八幡(え、どういうこと!? ドッキリ!? それとも俺の人生にもついに春が────)

一色「……………ぷぷっ」

八幡「おまえ……まさか…………」

一色「あはははははは~! わたしが先輩のこと、本気で好きになるとでも思いましたー?」

八幡「なっ…………」アングリ

一色「何慌ててるんですか、ぶっちゃけキモいです」クスクス

八幡「おい……、いくらなんでもやって良い冗談と駄目な冗談があるだろ! 俺のトラウマ掘り返すようなことするなよっ!!」クワッ!

一色「ひいぃっ!? ちょっ、何ムキになってるんですか! 日付思い出して下さいよ日付!!」アタフタ

八幡「日付? …………あっ」

八幡(本日、4月1日でした……)

一色「さぁ~って、休憩しゅうりょー! 気を取り直して練習再開しますよー」エイエイオー!

八幡「ぐぬぬ……」

17: ◆SnKC1m7x8. 2014/08/07(木) 15:09:33.13 ID:6adSiqST0
   【③大学生活】

結衣「ねえねえ、大学どんな感じ?」

八幡「どんな感じって言われてもなぁ。多分、おまえんとこの大学と大差ないだろ」

結衣「そーゆーことじゃなくって、ヒッキーが大学でどんな感じなのか気になるじゃん」

小町「それ小町も気になります! お兄ちゃん、結衣さんと付き合い始めてからちょっと明るくなった気がするし、案外友達沢山作れてたりするの?」

結衣「ん~。あたし的には、女友達が多いとちょっと複雑なんだけど……」

八幡「安心しろ。浮気なんてするわけないだろ。ってかそもそも、大学に友達なんて居ない」

結衣「えっ……」
小町「うわぁ……」

八幡「なんだその反応は。別に友達居なくっても良いだろ! 俺はこれでも大学生活を満喫してるんだよ」

18: ◆SnKC1m7x8. 2014/08/07(木) 15:11:55.85 ID:6adSiqST0
八幡「大学、それはとても素晴らしいものだ」
八幡「なぜなら、大学とは“ボッチに優しい空間である”」

八幡「授業中に『二人組作ってー』とか『班になれー』とか言われることもないし、何よりクラスというものがない」
八幡「そもそもクラスって何なんだろうな。大人から言わせりゃ協調性を養う場らしいが、あんなのはむしろ逆だ
八幡「一部の仲間同士だけでツルみ、相容れない者を攻撃する……、つまり排他性を学んでいるに過ぎない。ソースはもちろん俺」

八幡「他に大学の良い点を挙げるとすれば、……そうだな」
八幡「授業中にしろ休み時間にしろ、案外一人のやつが多い。本当は友達がいるが取ってる講義の関係で現在は一人である、なんてやつも少なくない」
八幡「そのため、購買や食堂で一人飯をしている者も必然的に多いわけで、俺はそんなやつらに擬態し堂々と室内で昼食を取れるというわけだ」

八幡「つまり大学ではぼっちでいても、『何あの可哀想な人……』『友達居ないの?』『うわぁキモ……』みたいな視線を浴びせられる可能性が極めて低いといえる」

八幡「結論を言おう」
八幡「~嗚呼、素晴らしきかなキャンパスライフ~」

19: ◆SnKC1m7x8. 2014/08/07(木) 15:12:51.87 ID:6adSiqST0

小町「…………」

結衣「…………」

八幡「え、……なに?」

小町「最近口数が増えたのは明るくなったわけじゃなくて、学校で話し相手が居ない分、小町や結衣さんの前でよく喋る様になっただけなんだね……」ウルウル

結衣「あたしがヒッキーと同じ大学に合格してれば、きっと違う未来もあったのに……。なんかごめんね」ウルウル

八幡「おいお前等、俺に憐れみの視線を向けるのはやめろ」

小町「大丈夫だよ。小町がいくらでも話し相手になってあげるから! あ、今の小町的にポイント高い」

結衣「寂しくなったらいつでも電話とかしてきて良いんだからね!」

八幡「だからやめろって! なんか逆に虚しくなっちゃうだろ! ……やめてくださいお願いします」

27: ◆SnKC1m7x8. 2014/08/07(木) 19:13:49.34 ID:6adSiqST0
   【過去篇其ノ二:いつの間にやら、部員は増えている。】

   ~高校三年時、4月中旬~

雪乃「まだ少し肌寒いし、紅茶でも淹れましょうか」

結衣「わーい!」

小町「ここの部室、紅茶が常備されてるんですか?」

結衣「うんっ。ゆきのんが入れてくれる紅茶、すっごく美味しいよ~!」

小町「ほほぉ~」

雪乃「温度調節と手順さえ間違わなければ、これくらい誰でも出来ることよ。もし良ければ、今度小町さんに教えようかしら」

小町「お願いします!」

結衣「ねぇねぇゆきのん、あたしは? あたしには教えてくれないの?」

雪乃「……さぁ、紅茶の準備が出来たわ」

結衣「シカトされたっ!?」

28: ◆SnKC1m7x8. 2014/08/07(木) 19:15:59.45 ID:6adSiqST0

  ゴクゴク ズズズ…

小町「流石雪乃さんですね~、その辺の自販機のやつよりよっぽど美味しいです!」

雪乃「そうかしら。買ったものとあまり大差はないと思うのだけれど、喜んでもらえたようで嬉しいわ」

結衣「ふぅ~、あったまる~……」

雪乃「はい。比企谷君の分も淹れておいたわ。せっかく、あなた用のティーカップもあるのだしね」コトッ

八幡「ティーカップっつうか、どこからどう見ても湯呑みだけどな。……ま、どうも」

雪乃「ふふ、どういたしまして」

八幡(雪ノ下から素直な善意を向けられることに未だに慣れないというか、何だかむず痒い……)

29: ◆SnKC1m7x8. 2014/08/07(木) 19:17:31.04 ID:6adSiqST0

八幡「コホン……。それより、なんで最近小町が居るの? ってか溶け込みすぎじゃね?」

雪乃「なんで、とは、どういう意図の質問かしら」

結衣「そうだよヒッキー! 同じ部員に対してそんなこと言っちゃ失礼だよ!」

小町「まったく、これだからごみいちゃんは……」ジトー

八幡(え、これ俺が悪いの? 小町が入部したこと全く聞いてないんだけど……)

結衣「あっ、そうだ! 今度小町ちゃん用のティーカップ、一緒に買いに行こうよ!」

小町「おおっ! そんなことまでしてもらっちゃって良いんですか?」

雪乃「ええ、もちろんよ。小町さんだけ紙コップというのも申し訳ないし、なるべく早く買いに行きましょう」

30: ◆SnKC1m7x8. 2014/08/07(木) 19:18:34.83 ID:6adSiqST0
結衣「ついでにカラオケとかボーリングも行きたいな~!」

雪乃「……それのどこがついでなのかしら。時間配分的に考えると、そちらがメインになってしまうじゃない」

結衣「えぇ~、たまには良いじゃん」

小町「小町も行きたいでーす☆」

結衣「ねー♡」

雪乃「……仕方ないわね。それと、ボーリングではなくボウリングよ。あなた、穴掘りでもするつもり?」

結衣「穴掘り? ゆきのん何言ってんの?」

雪乃「はぁ……」ヤレヤレ

  ワイワイ キャッキャ

八幡(いかにも“女の子の空間”って感じで居辛いんだけど)
八幡(……何これ俺要らなくね?)

31: ◆SnKC1m7x8. 2014/08/07(木) 19:22:34.09 ID:6adSiqST0
   【④来訪者】

八幡「たでぇま」

八幡「…………」

八幡(大学から家に帰ってくると、玄関には見慣れぬ女物の靴)
八幡(また由比ヶ浜でも来てんのか?)

   ~リビング~
 ワイワイ ガヤガヤ ワイワイ ガヤガヤ

   ガチャッ!
八幡「おーい、ただいm……」

小町「あ、お兄ちゃんおかえり~」

一色「せんぱ~い、お久しぶりですねー。おじゃましてまーす!」

八幡「……なんでお前が居るんだよ」

32: ◆SnKC1m7x8. 2014/08/07(木) 19:24:07.76 ID:6adSiqST0
一色「ちょっとー、そんな嫌そうな顔しないでくださいよぉ」プンプン
一色「この時期は生徒会の仕事も少なくて暇ですし、友達の家に遊びに来て何が悪いんですかー?」

小町「そうだよお兄ちゃん! いろはさんは小町のお客さんなんだから、失礼な態度取らないでよね!」

八幡「はいはい……」

一色「もしかして、『先輩に会いに来ましたよー!』とか言った方がポイント高かったですか?」

八幡「高くねえよ。むしろそんな理由だったら、即座に追い返すまである」

小町「小町的にも、今んとこお義姉さん候補は結衣さんだけで十分かな~。修羅場とか見たくないし」

33: ◆SnKC1m7x8. 2014/08/07(木) 19:25:10.26 ID:6adSiqST0

一色「ねえ小町ちゃん、先輩と結衣先輩ってそんなにラブラブなの?」

小町「そうですねぇ……。小町の前では物理的にイチャついたりはしてないけど、かなり仲良いと思いますよ」

一色「へぇー、なんか意外。普通にカップルしてる先輩が想像できないっていうか、そもそもどうやって付き合い始めたのかも想像つかない……」

小町「ほらほらお兄ちゃん、そんくらい教えてあげなよ」

八幡「あ? なんでそんなこと一色に教えなきゃならねぇんだよ」

小町「そりゃまあ恥ずかしくって言えないよねー」
小町「高校卒業の時は自分から結衣さんを遠ざけておきながら、いざ数ヶ月間会わなくなると寂しくてたまらなくなったとかお兄ちゃんマジごみいちゃん」

八幡「ちょっと待て! 違うから! いやほんとそんなんじゃないからっ!!」

一色「うわぁ~……。捻くれてるというよりも色々こじらせすぎててキモい……」

小町「あの時は小町も苦労したんですよ? 4月頃のお兄ちゃん、なんかいつも元気なかったし」

八幡「忘れろ……、忘れてくれ……」クロレキシガー…

34: ◆SnKC1m7x8. 2014/08/07(木) 19:26:50.09 ID:6adSiqST0

一色「小町ちゃんもこんなのが兄妹で大変だねぇ」

小町「ま、こんな愚兄を支えてあげるのが小町の役目ですから! ちなみに今の、小町的に超ポイント高い」

一色「あはははは! 愚兄ってwwwww」

八幡「ちょっと。さっきから俺の扱い酷過ぎない?」
八幡「何気にこんなのとか言うんじゃねぇよ……」

一色「まぁまぁ、先輩にもたまぁ~に良い部分があるってことくらいちゃんと理解してますから」

八幡「嘘つけ」

一色「ホントですってばー! その証拠に、卒業前に先輩からもらった第二ボタン、今でも大事にとってあるんですよ?」

小町「えっ、なにそれ!? お兄ちゃんいろはさんに第二ボタンあげたのっ!? 浮気はポイント大暴落だよ!!」

八幡「浮気も何もその頃は由比ヶ浜と付き合ってねぇし、そもそもあげたんじゃなくて一色に毟り取られただけだから……」

一色「またまたぁ~。あの時結構デレデレしてたくせに、先輩ったら強がっちゃってー」

八幡「デレデレなんてしてねぇよ」

35: ◆SnKC1m7x8. 2014/08/07(木) 19:27:45.78 ID:6adSiqST0

八幡(はぁ……、こいつと会話してると疲れる……)

八幡「小町、一色が帰ったら教えてくれ。それまで俺は自分の部屋に引き篭もるから」

小町「りょーか~い」ラジャッ!

一色「えぇ~~~! せんぱぁ~い、もうちょっとわたしとお話ししましょうよー!」

八幡「嫌だ。じゃあな」

小町「お兄ちゃん、なんだかんだ言っていろはさんと喋るの楽しそうにしてましたね」

一色「そうかな? 久々に会ったのに調子乗りすぎちゃったかなーとか気にしてたんだけど」

小町「いえいえ、そんなことありませんよ!」

一色「そっか。小町ちゃんの目に楽しそうに映ったなら、きっとそうなんだろうね」

一色(良かったぁ~)

40: ◆EJ0MB3jlw2 2014/08/07(木) 23:50:55.97 ID:6adSiqST0
   【⑤散歩しよ】

FROM ☆★ゆい★☆
SUB  やっはろー!

こんばんわ ・∀・)ノ

ヒッキーさぁ、
明日ってたしか講義午後からだったよね?

FROM 比企谷 八幡
SUB  Re:やっはろー!

おう

FROM ☆★ゆい★☆
SUB  Re2:やっはろー!

相変わらず返信二文字だし……(-д-;)
まぁいいや。

それでね、明日の朝なんだけど───

・・・・・

・・・・

・・・

・・

41: ◆EJ0MB3jlw2 2014/08/07(木) 23:52:20.37 ID:6adSiqST0
   ~次の日~

サブレ「わんっ! わんわん!!」フリフリ

八幡「…………」

八幡「なぁ、ほんとだったら今日は昼前まで寝てられたんだけど。なんでわざわざ早起きしてまで、犬の散歩に付き合わなきゃなんないの?」

結衣「小町ちゃんにさぁ、『お兄ちゃんが午後から授業の時、よく寝過してるみたいなんですけどどうしましょう?』って相談されて」
結衣「だから、ちゃんと朝から起きる理由を作ってあげたの!」

八幡(小町のせいかよ……)

八幡「仕方ないだろ。ノンビリ寝ていられると思うと、ついつい寝すぎちゃうんだよ」
八幡「つうか小町のモノマネすげぇ似てないな」

結衣「そうかなー? そんなことないと思うんだけど」

八幡「そんなことあるから」

結衣「むぅ~……」

42: ◆EJ0MB3jlw2 2014/08/07(木) 23:54:01.81 ID:6adSiqST0
結衣「え~、コホン」
結衣「お兄ちゃんお兄ちゃん! そんなイジワルなことばっか言ってると結衣的にポイント超低いし!! ……じゃなくって、低いよ!!」

八幡(似てなさすぎてヤバイ)
八幡(あと、由比ヶ浜にお兄ちゃんって呼ばれると、なんか妙な気分になってくる……)

結衣「ちょっと、外でニヤニヤしないでよ。これだからごみいちゃんは……」

八幡(ニヤニヤなんてしてないから。し、してないよね?)
八幡(たしかに俺はシスコンだが、妹プレイで喜んでしまう性癖なんてないはずだ。いや、断じてない!)

八幡「由比ヶ浜さん、それはあなたがそう思っているだけよ。私の顔は至って普通だわ」
八幡「それと、その小町さんの物真似を即刻やめてもらえないかしら? 傍から聞いていて物凄く滑稽なのだけれど」

八幡「あなたの物真似は、ただ口調を似せているだけよ。声質、イントネーション、間の取り方……、全てがお座成りでまるでなっていない」
八幡「声質を似せるのは声帯的に限界があるにしても、口調のトレースくらいもう少しなんとかしてもらいたいものね」

八幡「はっきり言って、酷く不愉快だわ」

43: ◆EJ0MB3jlw2 2014/08/07(木) 23:55:10.47 ID:6adSiqST0
八幡「……っと、モノマネってのはこうやるんだよ」
八幡(ちなみに、何かを誤魔化したい時に捲くし立てるとこまで含めて完璧なモノマネである)

結衣「似すぎてて逆にキモいからっ! ってかゆきのんそこまで酷いこと言わないし!!」

八幡「まぁそれもそうか。おまえにはとことん甘いもんな」

八幡「さて、一通り会話を楽しんだことだし、そろそろ帰るとするか」

結衣「ダメダメ! まだ全然散歩してないじゃん!!」

八幡「チッ、誤魔化せなかったか」

結衣「本気で帰るつもりだったんだ……」

八幡「冗談に決まってんだろ。ほら、行くぞ」

結衣「うんっ♪」

44: ◆EJ0MB3jlw2 2014/08/07(木) 23:58:37.41 ID:6adSiqST0
   【⑥散歩しよ Part2】

サブレ「ハッ ハッ ハッ」トテトテ

結衣「~~~~~♫」スタスタ

八幡「散歩のさせ方、意外としっかりしてんのな」

結衣「ん?」

八幡「リードの長さとか、犬歩かせる位置とか。もっと適当にやってんのかと思ってた」

結衣「あぁ~、たしかに昔は適当だったかも。でもほら、高校の入学式ん時のあれで怖くなっちゃって」
結衣「だからもっとしっかりしないと! って思ったの」

八幡「良い心がけのわりに、高二の時も逃げられてた気がするんですがそれは……」

結衣「あれは首輪のせいでしょ! ……それも含めて飼い主の責任かもだけど」シュン…

八幡「まぁ、もう首輪やリードの心配はないだろ。結構まともそうなやつを選んだつもりだし」

結衣「うん、ありがとね。サブレも気に入ってるみたい」

八幡「ほんとかよ。サブレとちゃんと意志疎通できてんの?」

結衣「失礼な! あたしこれでもサブレのこと、滅茶苦茶大事にしてるんだからね?」

八幡「俺だってカマクラ大事にしてっから。なんなら、大事にしすぎて一切外に出していない」

結衣「なにそれかわいそう!!」

45: ◆EJ0MB3jlw2 2014/08/07(木) 23:59:46.67 ID:6adSiqST0
八幡「んなことないって。生まれて此の方ずっと室内で育ってきた猫を、今更外に出したところで戸惑うだけだ」

八幡「それに、猫は犬と違って好き勝手に動くからな」
八幡「外に放し飼いした事によって、怪我したり病気を患ったりするケースも珍しくない」
八幡「猫が健康的に生活できる空間をしっかり家の中に作っておけば、室内飼いは決して悪いことじゃないんだ」
八幡「むしろ推奨されてるまである」

結衣「ほえぇ~」

八幡「ちなみに犬も、犬種によっては毎日外に出す必要はないんだぞ」
八幡「特に小型犬は肉体的に脆いのが多いから、あんまり散歩しすぎると足に良くないって話も聞いたことあるなぁ」
八幡「まぁダックスフンドの場合元々が猟犬だから、その心配は必要ないと思うけど」
八幡「サブレは毎日散歩するのが習慣になってるみたいだし、それに丈夫そうだからこのままで問題ないだろ」

結衣「なんか、ヒッキーが動物博士みたい……」

八幡「こんくらい動物好きなら普通の知識だ。実際うちは、昔犬飼ってたわけだし」

結衣「そういえばそんな話してたことあったね。ってかヒッキーって、そんなに動物好きだったんだ」

八幡「おう。結構好きな動物は多いな。……ただし人間以外に限る」

結衣「うわぁ……、一言余計すぎる……」

46: ◆EJ0MB3jlw2 2014/08/08(金) 00:01:01.09 ID:S15mwo790

結衣「あ、そうそう。首輪とリードだけじゃなくって、シュシュとか、この前の誕生日にもらったネックレスとか……」
結衣「ヒッキーから貰ったものは、全部大事にしてるからね!」

八幡「……あっそ、そりゃよかった」

結衣「ふふっ、照れちゃってー」ウリウリ

八幡「うっせ」///

サブレ「くぅ~ん……」(リア充爆発しろ……)

48: ◆EJ0MB3jlw2 2014/08/08(金) 00:06:42.57 ID:S15mwo790
   【過去篇其ノ三:由比ヶ浜結衣は皆に愛されている。】

  ~高校三年時、6月 inカラオケボックス~

雪乃「それでは由比ヶ浜さんの、18歳の誕生日を祝して……」

一同「「「「「「かんぱ~い!!」」」」」」

結衣「皆、本当にありがとーーー!!」

彩加「こちらこそ、今年も呼んでもらえて嬉しいよ」ニッコリ

八幡「俺も戸塚が居てくれて嬉しいぞ」

彩加「もぅ! からかわないでよ八幡っ」

義輝「八幡よ! 今回こそ我と共に歌いつくそうではないか!」

八幡「いや、俺は歌わないから……」

結衣「今年もこんなに祝ってもらえるなんて思ってもみなかったから、超ビックリしたよー」

雪乃「それだけ、あなたが皆から愛されているということよ」

結衣「そうかなぁ~」エヘヘー

小町「もちろんですよ! ねっ、お兄ちゃん?」

八幡「え、まぁ、う~ん……。よく分からんけど、きっとそうなんじゃないか?」

小町「もぉ~。そこはもっとこうハッキリと……『もちろん俺も愛してるぞ、結衣!』って言ってあげなきゃダメでしょ!!」プンプン

結衣「小町ちゃんっ!???」///

八幡「そんなに慌てなくても、んな台詞言うわけねぇだろ」

結衣「だ、だよね……」ハァ…

八幡(露骨に落ち込まれても反応に困るんだが……)

49: ◆EJ0MB3jlw2 2014/08/08(金) 00:08:31.67 ID:S15mwo790

雪乃「由比ヶ浜さん、今年もケーキを作ってみたのだけれど、食べてもらえるかしら」

結衣「ワーイ! ゆきのん大好き!!」

雪乃「食べる前からそんなに喜ばなくても……」

結衣「ゆきのんが作ってくれた料理なら、なんだって美味しいに決まってるよー」

雪乃「そ、そうかしら」テレッ

小町「ほら、お兄ちゃんもさっさとプレゼント渡さないと。わざわざ二人きりのシチュで渡せるほど大それた物選んだわけじゃないんだからっ」ヒソヒソ

八幡「言われんでもわーってるよ」ヒソヒソ

結衣「ん~~~! これマジ美味すぎだし!!」モグモグ

雪乃「ふふ、作った甲斐があったわ。切り分けたから、戸塚君や材……えっと、そこの人もどうぞ」

彩加「わぁ~。すごく美味しそう! 雪ノ下さんありがとう!」

義輝「うぐぅ……。我にもケーキを恵んで下さるのは非常にありがたいのだが、どうにも複雑な気分であるぞ……」

50: ◆EJ0MB3jlw2 2014/08/08(金) 00:09:30.71 ID:S15mwo790

八幡「なぁ由比ヶ浜、少しいいか?」

結衣「ん?」

八幡「ほれ、プレゼントだ」つ□

結衣「!! ありがと~! これ、開けてみていい?」

八幡「おう。大した物じゃないけどな」

ガサゴソ
結衣「わぁ~、模様とか超カワイイー」

八幡「去年首輪だったから今年リードってのは、ちょっと安直すぎたか?」

結衣「そんなことないよ! あたしの好みっぽいやつ選んでくれたのかなーとか、色々伝わってきて凄く嬉しい」

八幡「なら良かった」

結衣「ありがとね、ヒッキー!」ニコッ

51: ◆EJ0MB3jlw2 2014/08/08(金) 00:11:21.65 ID:S15mwo790

八幡(安直も何も、本当は色々と悩んだのだ)

八幡(去年プレゼントした犬の首輪をチョーカーと勘違いして喜んでいたことから推測するに、そういう類の物をあげればきっと喜ぶのだと思う)
八幡(だから最初はネックレスでもプレゼントしてみようかと思ったが、俺にはハードル高すぎて結局やめた)

八幡(由比ヶ浜の容姿と社交性なら、来年の今頃にはどこぞの大学で素敵な彼氏でもできていることだろう)
八幡(チョーカーとかネックレスとかそういうのは、その彼氏から貰えばいい)

八幡(そうだ、これでいい。俺は何も間違っていないはずだ……)

54: ◆EJ0MB3jlw2 2014/08/08(金) 01:38:10.82 ID:S15mwo790
   【⑦梅雨】

   ザァァァアアア……

結衣「雨だね~」

八幡「そだな」

結衣「遊び行けないし嫌だね~」

八幡「俺は室内の方が好きだけどな」

結衣「もぉ! 天気もヒッキーもムカツク!」

八幡「天気については俺に文句言われても知らん」
八幡「もう7月だし、梅雨なのは仕方ないんじゃねえの?」

結衣「そーだけどさぁ~……」

55: ◆EJ0MB3jlw2 2014/08/08(金) 01:38:59.97 ID:S15mwo790

結衣「あっ! 雨に関する良い思い出あった!」

八幡「良い思い出?」

結衣「ほらほら、去年の今頃相合傘したじゃん!」

八幡「……知らん知らん。忘れた」

結衣「絶対嘘だ~。ヒッキー嘘は嫌いなんじゃないの?」

八幡「俺は嘘も欺瞞も嫌いだが、誤魔化しは好きなんだよ」

結衣「いやもう意味分かんないし……」

結衣「ねぇ、また相合傘してみる?」

八幡「……あんなこともうしないから。なにあれ恥ずかしすぎでしょ」

結衣「あ、やっぱり覚えてたんだ」

八幡「そりゃ忘れらんないだろ。大体お前はああいうシチュエーションに託けて、くっついてきすぎなんだよ」

結衣「しょうがないじゃん! せっかくのチャンスだったんだもん!!」
結衣「それに嫌じゃなかったでしょ?」

八幡「その質問はズルイと思います……」

結衣「あはは」

56: ◆EJ0MB3jlw2 2014/08/08(金) 01:41:03.45 ID:S15mwo790

結衣「今はもうさ、理由とかなくてもくっついて良いよね?」

八幡「……う。それは、えっと」
八幡「お手柔らかにお願いします……」

結衣「えへへー」ギュゥーッ!
八幡「…………」/////

八幡(ヤバイヤバイ)

八幡(離れたいのに離れたくなくて自分でもワケが分からん……)

57: ◆EJ0MB3jlw2 2014/08/08(金) 01:42:20.34 ID:S15mwo790
   【過去篇其ノ四:想いは雨の様に降り注ぎ、鳴りやまない。】

   ~高校三年時、7月初旬~

ザァァァァァァ…

結衣「あ、あれ?」
結衣「折り畳み傘鞄に入れたはずだったのに入ってない! なんでっ!?」ガサゴソ
結衣「もうゆきのん帰っちゃったしどうしよぉ~……」

八幡「仕方ねぇな。小町、由比ヶ浜に傘貸してやってくれないか? おまえは俺の傘に入って帰れば済む話だし」

小町「ん~。小町とお兄ちゃんで相合傘するのもそれはそれでポイント高いけど~……。いやでもなぁ……」ブツブツ

八幡「おまえ、また変なこと企んでるんじゃ───」

小町「結衣さん! 傘を貸してあげたいのは山々なんですけど、小町は食糧買いに行ったり晩御飯作ったり色々やらなければならないことがあるんですよ!」

結衣「は、はぁ」

小町「そ・こ・で! うちの兄を貸しますんで、バス停まで連れてってもらって下さい!」

結衣「えぇっ!? そ、それってあたしとヒッキーが一緒の傘で……ってこと!?」

小町「はいもちろんそうなりますねぇ~」ウェヒヒヒ

58: ◆EJ0MB3jlw2 2014/08/08(金) 01:43:29.14 ID:S15mwo790
八幡「おい小町! いくらなんでもそれは悪ふざけが過ぎるぞ!」

小町「いやいや何言ってんの。バス停なんて歩いてほんの数分でしょ?」
小町「それでは結衣さん頑張って下さい! さよ~なら~」スタコラサッサ

・・・・・

・・・・

・・・

・・

  ザァァァァァァ…

八幡「…………」
結衣「…………」チラッ

八幡「……おい、あんま離れると濡れるぞ」

結衣「あ、うん。じゃあくっつくね……」スッ

八幡「いやちょっとそれはいくらなんでも近すぎるんじゃっ」///

結衣「ご、ごめんっ!」///

八幡(どうしてこうなった……。怨むぞ小町……)
八幡(はぁ……。小町が最近色々企みまくりで小賢しすぎる。いやまぁそんなところも可愛いんだけど)

59: ◆EJ0MB3jlw2 2014/08/08(金) 01:44:27.27 ID:S15mwo790
結衣「ヒッキー、その……、あたしが傘忘れちゃったせいでこんなことになっちゃって、ごめんね?」

八幡「いや、別に謝るようなことじゃないだろ」

結衣「でもなんか、複雑そうな顔してたから……」

八幡(それはほら、さっきからずっと触れてる肩の柔らかさとか、すぐ隣の髪から漂う良い匂いから気を紛らわそうとこっちはこっちで必死なんだよ!)

結衣「…………」ピタッ

八幡「ん、どうかしたのか?」

結衣「もうすぐ、バス停着いちゃうから……、もう少しこのままじゃ、駄目…かな?」

八幡「お、おい。急に何言い出すんだ……」

結衣「だって、あたし等もう高3なんだよ?」
結衣「奉仕部も、きっともうすぐ終わっちゃうんだって思ったら……、これ以上、今までのままじゃいられなくって、それで……」

八幡「…………」

結衣「それにね、急にじゃないよ。全然、急になんかじゃない」

八幡「……そうか。そう、だな」

60: ◆EJ0MB3jlw2 2014/08/08(金) 01:45:51.39 ID:S15mwo790
八幡(由比ヶ浜が、俺に抱いているであろう特別な想い。そんなものは存在しないと、どうせまた俺の勘違いだと、ずっとそう思ってきた)

八幡(いや、そう自分に言い聞かせて逃げてきたんだ。そうしなければ、自制が利きそうになかったから)

八幡(かけがいのない存在なんて作りたくはなかったのに、由比ヶ浜のことが、奉仕部がそうであると認めてしまいたくなかったから)

八幡(だが、目をそらし続けるのは、もう限界なのかもしれない……)

八幡「由比ヶ浜、俺は今のぬるま湯のような関係性が好きだ。おまえはそうじゃないのか?」

結衣「好きだよ。でも……、それでもあたしは……」

八幡「……仮に、仮にだ。俺と由比ヶ浜の関係性が、何か別のものに変わったとする。でも、そんなのきっと1年間も続かないぞ?」

結衣「……どういう意味?」

八幡「そういうのはな、同じ高校・同じ部室で共に時間を過ごしていたからこそ芽生えた、ほんの一時の感情に過ぎない」
八幡「そんなものは幻想なんだと、少し離れればすぐに気付くことになる」

結衣「あたしは、そんなことないと思うけどな……」

八幡「そんなことあるだろ、きっと……」

結衣「……っ」

61: ◆EJ0MB3jlw2 2014/08/08(金) 01:46:47.02 ID:S15mwo790
八幡(そんな顔をしないでほしい。悪いのは由比ヶ浜でなく、全て臆病な俺のせいなのに……)

八幡「……すまない。でも、どうにも変われそうにないし、そう簡単に変わりたくもないんだ……」

結衣「じゃあ、じゃあさ……。もし、この先も一緒に居られるなら、ヒッキーはそれで安心できる?」

八幡「……俺は守れる保証のない約束はしない主義だ。だから、そうなってみないとには何とも言えない」

結衣「あ、あはは……。そう、だよね……」

八幡(俺は、ここまできても尚、由比ヶ浜の気持ちを完全には把握しきれていないのだろう)
八幡(だが、これだけは分かっている。一度変わってしまえば、二度と元に戻すことはできない)
八幡(それくらい由比ヶ浜も分かっているはすだ。それでも、こいつは踏み出してきた)

八幡(なら、俺にできることは───)

八幡「……ただ、その、なに」
八幡「どんなに変えたくないと願っても変わらないものなんてない」
八幡「だから、俺もその内ちょっとくらいなら変わる可能性がある気がしないでもないような……、そんな気がするような……」

62: ◆EJ0MB3jlw2 2014/08/08(金) 01:48:05.72 ID:S15mwo790
結衣「ふふ、何それ」

八幡「悪かったな」

結衣「うん、悪い。さっきから曖昧な表現しすぎだし。聞いててもどかしすぎっ」

八幡「んなこと言われてもだな……。仕方ないというかなんというか」

結衣「ばか…」

八幡「うっ……」

結衣「でも、ヒッキーなりに頑張ってくれたんだよね」

八幡「なんでそんなこと分かんだよ」

結衣「それくらい分かるよ。ヒッキーのこと、今までずっと見てきたもん!」

八幡「見てんのかよ……」

結衣「うん。これからも、ちゃんと見てる」ニコッ

結衣「ありがとね。今はこれで、我慢できそうな気がする、かな」

八幡「そうか……」

結衣「傘、ここまででいいよ」

八幡「おい、まだ雨強いままだろ」

結衣「もうバス停すぐそこだし、走ってけば大して濡れないって!」

八幡「まぁいいけど、風邪引くなよ」

結衣「うん、今日はほんとありがとう」

結衣「それと───」

63: ◆EJ0MB3jlw2 2014/08/08(金) 01:48:48.17 ID:S15mwo790

結衣「───待っててね。今度は絶対逃がさないからっ!」

八幡(そう言って走り去る彼女の顔は、先程までとはうってかわってまるで晴天の様に輝いていて、俺の網膜から離れてくれそうにない)

八幡(そして、一度高鳴り始めた俺の想いも、依然降りつづける雨の様に、暫くやんでくれそうにないのであった……)

69: ◆EJ0MB3jlw2 2014/08/08(金) 18:00:51.82 ID:S15mwo790
   【⑧歌うのって楽しいよね!】

   ~カラオケデート中~

八幡「フリータイムか……」

結衣「そだけど、どうかしたの?」

八幡「フリータイム、直訳で自由な時間、まったくもって嫌な響きだ」
八幡「修学旅行、遠足、体育の授業etc、自由時間と言われる度にどうしたらいいものか、昔の俺は大変悩まされた」

結衣「なんか似たような話、高2くらいの時にも聞いたことあるし……」

八幡「え、そうだっけ?」
八幡「やべぇな、今回はマジで全然覚えてないわ。俺も歳かもしれん」

結衣「もう老化現象っ!? ボケるの早すぎだからぁ!」

70: ◆EJ0MB3jlw2 2014/08/08(金) 18:02:11.44 ID:S15mwo790

八幡「まぁそんな話はともかく、フリータイムで入ってどうすんの? 二人で6時間もカラオケに居座るとかそんなの無理だろ」

結衣「そんくらい余裕じゃない? 歌う以外にもやれること色々あるし!」

八幡「例えば?」

結衣「お昼ごはん食べれるしー、ドリンクバー付くから色々飲みながらお喋りしたりもできるしー、あとデザート系のメニューも案外豊富でおいしい!」

八幡「飲み食いしてばっかじゃねえか……。あと、こういう所で食べる飯は、高い割に美味くないと相場が決まってるもんだ」

結衣「え~、普通に美味しくない? それにあたしクーポン持ってるし!」
結衣「他にはー、ええっと……、歌うのに疲れたらお笑い見たりもできる!」

八幡「は?カラオケでお笑い?」

結衣「ヒッキー知らないの? カラオケのテレビで、芸人さんのコント見れるんだよ」

八幡(え、マジで? 最近のカラオケそんな機能付いてんの?)
八幡(もういっそのこと、スーパーヒーロータイムやプリキャアも見られるようにしちまおうぜ! そしたら日曜寝坊した時とか非常に助かる)

71: ◆EJ0MB3jlw2 2014/08/08(金) 18:02:48.66 ID:S15mwo790

結衣「別にずっと歌ってるんでも良いんだけどね」

八幡「いや、だからそれは無理だろ」

結衣「無理じゃないよ?」

八幡「は?」

結衣「前に優美子と2人でフリータイムの間中、交互に歌いっぱなしなのやったの!」
結衣「楽しかったけど終わる頃には凄い喉痛くなっちゃってさー、次の日まで声ガラガラで大変だったよ~」アハハー

八幡(なんでそんなにテンション高く話せるんですかねぇ……)
八幡(それ本当に楽しいの? 喉を痛めてまで歌い続けるとか拷問の間違いなんじゃないの?)

72: ◆EJ0MB3jlw2 2014/08/08(金) 18:03:30.19 ID:S15mwo790

結衣「それに、さ」

八幡「?」

結衣「ヒッキーと一緒だったら、大抵何してても楽しいかなぁ~、なんて。たははー……」

八幡「……自分で照れるようなことわざわざ言うなよ」

結衣「あぅ……」

八幡(いや、まぁ、嬉しかったけど……)

73: ◆EJ0MB3jlw2 2014/08/08(金) 18:04:35.34 ID:S15mwo790
   【⑨テスト期間】

FROM ☆★ゆい★☆
SUB  へるぷ・みー・ヒッキー!

うちの大学、来週からテスト期間なんだけど……
いーやーだー><

FROM 比企谷 八幡
SUB  Re: へるぷ・みー・ヒッキー!

俺んとこも来週からテストだ

FROM ☆★ゆい★☆
SUB  Re2: へるぷ・みー・ヒッキー!

へぇ~
じゃあさ、次の休み一緒に勉強会とかやんない?(〃ω〃)

FROM 比企谷 八幡
SUB  Re3: へるぷ・みー・ヒッキー!

真面目な話、
大学も学部も違うのに一緒に勉強したとこで意味なくね?

FROM ☆★ゆい★☆
SUB  Re4: へるぷ・みー・ヒッキー!

えぇー
二人とも文系なことに変わりはないじゃん!!(`・ω・´)

74: ◆EJ0MB3jlw2 2014/08/08(金) 18:05:25.04 ID:S15mwo790

FROM 比企谷 八幡
SUB  Re5: へるぷ・みー・ヒッキー!

俺文学部
おまえ経済学部
おk?

ちなみに、教養科目として
経済学入門っつー授業取ってみたけど、
まるで意味が分からなかった。
ミクロとかマクロとかなんだよ
あれ文系科目じゃなくて数Aの仲間だろ
俺は金輪際数学とは関わらないと誓った男だ
この誓いをあまり舐めるな

FROM ☆★ゆい★☆
SUB  Re6: へるぷ・みー・ヒッキー!

珍しく返信長いと思ったら文句ばっかだし……(´・ω・`)

あ、そうだ!
ならあたしが経済学おしえてあげる!!

FROM 比企谷 八幡
SUB  Re7: へるぷ・みー・ヒッキー!

お、マジか
若干屈辱的な気がしないでもないけど助かる

そして俺は単位を取れて、
代わりに由比ヶ浜が落とすんですね分かります

FROM ☆★ゆい★☆
SUB  Re8: へるぷ・みー・ヒッキー!

屈辱的ってなんだし!
ってか一番最初のテストから単位落としたりしないからぁ!!

75: ◆EJ0MB3jlw2 2014/08/08(金) 18:06:45.31 ID:S15mwo790
   【過去篇其ノ五:人ごみに紛れないように握ってくれた手が、胸の奥までつかんで離さない。】

~高校三年時、8月下旬~

八幡(現在駅俺は駅にて、とある人物と待ち合わせ中だ)
八幡(待ち合わせ時間より少々早く気すぎてしまったため、待ちぼうけを食らっている次第である)

八幡(べ、別に、楽しみすぎて家を早く出ちゃったとかそういうことでは決して───)

結衣「お、お待たせ……」テトテト

八幡(───そこには、去年と同様の可愛らしい浴衣に身を包む、由比ヶ浜結衣が居た)

八幡「お、おう」

結衣「待たせちゃってごめんね……」

八幡「いや、そんなに待ってないから大丈夫だ。まだ集合時間より早いしな」

結衣「そっか。えぇっと……」

八幡「その、なに。……今年もいいな、その浴衣」

八幡(なんで中身じゃなくて毎回服の方を褒めてんだよ。ほんと俺って成長してないな……)

結衣「そうかな? えへへ……、ありがとう」///

八幡「ん。……そんじゃ、そろそろ行くか」

結衣「うんっ!」

Similar Posts:


PAGE TOP